イノブタ肉と豚肉の理化学的特性及び官能評価の違い

[要約]
 イノブタ肉は豚肉にくらべて破断応力が高く、歯ごたえがある。また保水性が高く、クッキングロスが少ないことから、ジューシーな肉質を持っている。肉色はは赤色度が高い。官能評価の結果では、総合的に好ましいと評価する人が多い。

畜産研究所・中小家畜部・養豚研究室 [連絡先]092925-5177
[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 消費者の高品質志向に応えた新しい地域特産品として、イノブタの開発に取り組んでおり、これまでに、大ヨークシャー種雌にイノシシ雄を交配して生産したイノブタの発育特性を明らかにした(平成8・9年度成果情報)。豚肉に対して差別化を行うためには、イノブタと豚の肉質の違いを把握する事が必要である。そこで、一般的な出荷体重である105kgの豚(大ヨークシャー種)と、適正出荷体重である90kgのイノブタ(大ヨークシャー種×イノシシ)を用いて、肉質の違いを明らかにする。(要望機関名:農業技術課(平7))
 
[成果の内容・特徴]
1 イノブタ肉は豚肉に比べて保水性が高く、クッキングロスが少ないため、肉中に水分を保持するカが強く、ジューシーな肉質を持っている。破断応力は豚肉に比べてイノブタ肉が高く、歯ごたえのある肉質を持っている。またイノブタの肉色は豚肉に比べて赤色度が高い。枝肉の赤肉割合は差がない(表1)。
1 背脂肪中の脂肪酸組成は、豚肉とイノブタ肉で大きな差は認めら托ない。また全脂肪酸中の飽和脂肪酸割合も同等である(表2)。
 
2 イノブタ肉と豚肉の2点嗜好法による官能検査の結果では、イノブタ肉は豚肉に比べて肉味が良い、歯ごたえがある、肉色が好ましいとされ、総合的に好ましいと評価する人が多い({表3)。
[成果の活用面・留意点]
1 イノブタ普及のための技術資料とする。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:イノブタの生産及び飼養管理技術
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者:村上徹哉、山本英二、大和碩哉
発表論文等:平成9,10年度畜産関係試験成績書