フリーストール1群管理方式における個体毎の乾物摂取量及ぴTDN摂取の動向
 
[要約]
 フリーストール方式において、TMR自由採食方式で1群飼養管理する場合、個体毎の
乾物摂取量は脂肪補正乳量の増加に対応して増加するが、反対にTDNの充足率は低下
する。初産牛は乾物摂取量が少ないため、。2産目以降牛よりTDN充足率が低下する。
2産以降で乳量20s程度の牛はTDNが過剰になりやすい。
畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室  連絡先:092−925−5231
部会名:畜産 専門:飼育管理 対象:家畜類 分類:指導
 
[背景・ねらい]
 フリーストール方式ではTMR(混合飼料)給与による群飼養管理となるが、管理作
業を省力化するため、泌乳牛を1群で飼養管理する農家が多い。産次や泌乳ステージの
違う個体を1種類のTMRだけで管理する事は栄養管理上問題を生じる危険性も高い。
しかし、農家のフリーストール方式では繋ぎ方式のように個体の飼料摂取状況が把握で
きない。このため、当場内においてTDN72〜73%、CP14.5〜15.5%、
DM60%のTMR(乳量35〜40sの牛が栄養を充足できるとされている濃度)給
与による1群管理で分娩後35日以降の個体毎飼料摂取状況を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 乾物摂取量(以下DMI)は脂肪補正乳量(=0.4×乳量+15×乳脂量、以
下FCM)との相関が高く、初産牛は2産目以降牛よりDMIが少ない(図1)。しか
し、DMIを代謝体重(=体重0.75)当たりに直すとその差はほとんどなくなる(図2)
 2 TDN充足率(=日本飼養標準TDN要求量に対する充足率)はFCMに対して
負の相関を示し、FCMが増加するほど低くなり、減少するほど高くなる傾向にある。
初産牛はDMIが少ないために2産目以降牛よりTDN充足率が低下しやすい。また、
2産以降で乳量20s程度の牛はTDNが過剰な個体が多い(図3)。
 3 体重の増減は個体差が大きいが、TDNの摂取状況を反映して充足率が高い個体
は体重が増加し、低い個体は減少する傾向にある(図4)。
 4 フリーストール方式におけるDMIを推測するため、FCM、代謝体重、産次、
分娩後日数を説明変数として重回帰分析を行った。FCMと代謝体重を説明変数とする
有意(1%)な重回帰式を得た。寄与率は0.59で推定値の標準誤差ば2.23であ
る(表1)。
[成果の活用面・留意点]
 1 フリーストール方式における群の給与管理やTMR設計の際の参考として活用す
る。
 2 当調査は試験牛に対して飽食管理し、飼糟の幅及び数には十分に余裕を持たせた
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:フリーストール牛群の飼養管理システム
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成9年度(8年〜10年)
研究担当者:柿原孝彦、磯崎良寛、原田美奈子、古賀康弘
発表論文等:平成9年度畜産関係研究成績書