フリーストール方式酪農経営における経営試算システムの開発
 
[要約]
 フリーストール方式酪農家における実態調査結果等を基に、経営構造、生産技術およ
び経営条件等の違いによる損益計算書および労働時間等が試算できるシステムを、表計
算ソフト「ロータス123」のワークシート上で開発した。
 
畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室  連絡先:092−925−5231
部会名:畜産 専門:経営 対象:家畜類 分類:普及
 
[背景・ねらい]
 酪農経営においては、フリーストール方式の導入により規模拡大を進めるとともに、
労働環境を改善しようとする酪農家が増加している。しかし、全国的にもフリーストー
ル方式の事例が少なく、経営計画の策定や経営試算に関する経営技術指針は確立されて
いない。そこで、県内のフリーストール方式酪農家の経営調査結果等を基に、労働力に
応じた適正規模や所得目標を達成する技術水準を明らかにするとともに、経営構造およ
び生産技術等に応じた収益性および労働時間が試算できるシステムを構築する。
 
[成果の内容・特徴]
 1 フリーストル方式酪農家における生産技術の構造、労働時間および収益性の実態
調査結果等を基に、表計算ソフト「ロータス123」のワークシート上において、経営
構造、生産技術および経営条件等の入力値に応じた損益計算書、損益分岐点分析および
労働時間等が試算できるシステムを開発した(表1、図1)。
 2 経産牛頭数や年間産乳量等の生産性に関与する基本設定値を変化させることによ
り、飼養規模の拡大や泌乳能力の向上等に応じた収益性の変化が試算できる(表1、図
1)。
 3 経産牛頭数、ミルキングパーラーの規模および自給飼料生産面積等の労働時間に
関与する基本設定値により、年間の総労働時間が試算される。経営内の必要労働人員は
この年間総労働時間を1,800〜2,000時間で割った数値となる(表1、図1)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 フリーストール方式酪農の導入および経営試算に当たっての資料として活用でき
る。
 2 このシステムの活用にあたっては、経産牛200頭程度までを想定している。そ
れ以上の規模においては、飼養管理機械類の既存設定を変更する必要がある。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:大規模土地利用型酪農の存立条件の解明
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:古賀康弘、磯崎良寛、柿原孝彦、原田美奈子
発表論文等:平成9年度畜産関係試験成績書