作業経過時間試算に基づく各種ミルキングパーラの搾乳作業特性


[要約]

 各種ミルキングパーラの搾乳効率等を試算すると、ヘリボーン式はパーラ頭数規模増加により搾乳能率は向上するが、作業者が1名の場合には4頭複列規模以上で人の休息時間が短<なる。タンデム式は作業者を1名から2名に増やしても搾乳能率に大きな差はなく、作業能率は高い。アブレスト式は自動開閉タンデム式と同等の搾乳能率である。


畜産研究所・大家畜部・乳牛研究室 [連船先]092−925−5232

[部会名]畜産 [専門]飼育管理 [対象]家畜類 [分類]指導

 

[背景・ねらい]

 酪農の飼養管理作業の中で、搾乳は最も重要で労働力・時間を要する作業であり、当場ではこれまでに農家蠣査に基づく搾乳作業性や場内試験による入室・退出方式別の作業動線及び作業頻度等を報告してきた(7,9年度成果情報)。

 そこで、これまでの調査結果等により搾乳の各作業所要時間を設定し、作業経過時間の流れを試算することにより、パーラ形式、パーラ頭数規模、作業者数の異なるミルキングパーラの作業特性を解明する。(要望機関名:福岡普、飯塚普(H6))

 

[成果の内容・特徴]

1 ヘリンボーン式ではパーラ頭数規模が増加するとともに搾乳能率が向上し、作集者1名では8頭複列以上、2名では6頭複列以上の規模で50頭/hr以上の捕乳能率に達する。ただし、4頭複列以上の規模で作業者が1名の場合には、作業者の休息時間が極端に短くなる(表1)。

2 自動開閉タンデム式は牛の待機時間が短いことから搾乳能率が高く、作業者数に関わらず4頭複列規模で50頭/hr以上の搾乳能率となる(表1)。

3 アブレスト式は、同規模の自動開閉タンデム式と同様の搾乳能率、牛待機時間率、人休息時間率である(表1)。

 

[成果の活用面・留意点]

1 ミルキングパーラ導入時において、搾乳対象頭数、作業者条件に基づいてパーラ形式や頭数規模を選定する際の参考資料として利用できる。

2 アブレスト式は搾乳時の作業姿勢が改善されず、その作業性からパーラー施設規模が制限されるため、中規模(経産牛80頭程度)以下の経営に適する。

 

[具体的データ]

 

[その他]

研究課題名:フリーストール牛舎の省力的作業システム

予算区分:国庫(地域基幹)

研究期間:平成10年度(平成6〜10年)

研究担当者:磯崎良寛

発表論文等:平成10年度畜産関係試験成績書