土壌の加湿状態が施設栽培ブドウ「巨峰」の葉焼け発生に及ぼす影響
[要約]
施設栽培ブドウ「巨峰」では土壌が極端な過湿状態となると葉焼けの発生が増加する
特に着色開始期は過湿に対して鋭敏に反応する。また、収穫後、長期間土壌の加湿状態
が続くと、翌年の葉焼け発生が増加する。
園芸研究所・果樹部・果樹品種研究室 連絡先: 092−922−4111
部会名:園芸 専門:栽培 対象:果樹類 分類:指導
[背景・ねらい]
施設栽培「巨峰」での葉焼けの発生は、当年の果実品質が低下するばかりでなく、樹
勢の衰弱を招き、次年度以降の生産性の低下を引き起こしており、ブドウの生産不安定
要因として早急に解決しなければならない課題である。葉焼けの発生に最も関与すると
されている土壌の水分状態を人為的に管理して、土壌の過湿と葉焼けの発生との関係を
明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 果実の着色開始期に土壌が極端な過湿状態になると葉焼けが発生する(表1)。
2 年間を通じて土壌が過湿となっている場合には果実の収穫期までの菓焼けの発生
は少ないが、貯蔵養分蓄積期に発生が急増する(図1A区)。
3 前年の収穫後から実止まり期まで適湿状態で管理すると、それ以降過湿状態にな
ったときの葉焼け発生は少ない(図1B区)。
4 前年の収穫後から実止まり期まで加湿状態で経過すると、実止まり期以降pF2
2以下のブドウに適した土壌水分で管理しても葉焼けが発生し、しかも発生の時期が早
い(図1C区)。
[成果の活用面・留意点」
1 葉焼け発生防止のための指導資料として活用する。
2 排水の良くない園では、1回のかん水量をあまり多くせず、かん水回数を増やす
ことで土壌が加湿状態になることを防ぐ。
3 収穫後も十分な水管理を行う。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:ブドウ超早期加温栽培下における葉焼け要因の解明
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成5〜9年)
研究担当者:平川信之、井樋昭宏、粟村光男、鈴木勝征、能塚一徳、松本亮司
発表論文等:平成6〜9年度園芸研究所果樹関係試験成績書