イチジク果実の糖組成の品種及ぴ部位別変動

[要約]イチジク果実は果糖、ブドウ糖含量が多く、ショ糖含量は少ないが、品種間差はショ糖で大きい。果糖、ブドウ糖は成熟に伴って急激に増加し、その際、果糖の比率が高まるとともに部位では小果の糖含量が多くなる。また、果実の成熟が始まる前に結果枝の葉を摘除して異常落葉の状態にすると、糖組成に大きな変化はないがブドウ糖、ショ糖含量が減少傾向となる。


豊前分場・果樹研究室 [連絡先]09302−3−0163
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]指導


[背景・ねらい]

果実の甘味は糖の含量だけでなく組成によっても異なり、同一量ではショ糖に比べてブドウ緒は70%、果糖は130%程度の甘味を感じるとされている。イチジク果実には果糖、ブドウ櫨が多く含まれ、ショ糖は少ないことが明らかになっているが、これまでの研究はほとんどが「桝井ドーフィン」を対象としているため、「蓬莱柿」や他の品種の糖組成の違いは明らかでなく、また果実の部位ごとの変化や栽培条件が及ぼす影響なともわかっていない。そこでイチジク果実の食味特性とその変動要因を解明するため、糖組成の品種間差と部位別の変化を明らかにし、さらに摘葉、環状はく皮などの処理が糖組成に及ぼす影響についても明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 イチジク果実に含まれる糖は果糖とブドウ糖が多く、ショ糖は少ない。しかし、品種間の差ば含量、組成比率ともショ糖で顕著である(表1)。
2 イチジク果実は成熟期に果糖、ブドウ糖が急激に増加するが、その際、糖組成に占める果糖の比率が高まるとともに果托に比べて小果の方が蜷含量が多くなる(表2)。

3 果実の成熟が始まる前に結果枝葉を摘除して異常落葉の状態にすると、環状はく皮を行った場合や無処理に比べてブドウ糖、ショ糖含量が減少傾向となるが、糖組成に大きな変化ばない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

1 イチジクの食味解析及び品質向上対策の参考資料とする。

[具体的データ]

[その他]。
研究課題名:果実品質の変動要因の解明
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜12年)
研究担当者:矢羽田第二郎、野方仁
発表論文等:イチジク果実の肥大・成熟に伴う小果及び果托内の糖集積、園芸学会九州支部研究集録、第4号、1996