日本ナシ「新高」の比重によるす入り果の判別および発生予測法

[要約]日本なし「新高]す入り果は、収穫果実の比重測定により非破壊で判定でき、果実比重は果実横径と果実を水中に入れた時の浮上した部位の比により推定できる。収穫予定日2週間前の果実比重から、収穫期の果実比重およびす入り果発生の予測が可能である。


園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]指導


[背景・ねらい]

日本ナシ「新高」は、「豊水」の後に続く中生品種であり、本県ナシの推奨品種として重要な位置を占めている。しかし、「新高」は年により、また園地によりす入り果の発生が多くみられることがある。そこで、収穫果実のす入り果判別法および収穫前におけるす入り果の発生予測法を確立する。

[成果の内容・特徴]

1 「新高」のす入り果をす入り程度別に3段階に分類し果実比重を測定すると、す入り程度「少」の果実では比重が0.95±0.015、「中」の果実では0.92±0.016、「多」の果実では0.88土0.02である(図1)。
2 「新高」の果実比重は、果実横径とその果実を水中に入れた時に浮上した部分の直径の比から実用上十分な精度(実測値との差は平均0.007)で推定できる(図2、表1)。
3 収穫予定日の2週間前に果実比重が0.98以下であると、収穫時の果実比重は0.95以下となり、す入り果が発生する(図3)。

[成果の活用面・留意点]

1「薪高」の露地およびトンネル栽培に適用でき、す入り果が多く発生すると予想される場合に活用する。、
2 現地目合わ世会での収穫日決定に活用し、収穫予定日の2週間前の時点で果実比重が0.98以下であれば、早めに収穫する。
3 予測には成熟の早い樹冠外周部の果実を5果程度用いる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:ナシす入り果の発生要因解明
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:千々和浩幸、林公彦、牛島孝策
発表論文等:平成7〜9年果樹関係試験成績書、平成8〜9年度落葉果樹試験研究成績概要集、園芸学会雑誌第65巻別冊2