開花期にひょう害を受けたカキ樹の次年度の着蕾確保技術

[要約]開花期の降ひょうで葉に損傷被害を受けたカキ樹は、被害後約10日で新梢頂芽付近に副梢を発生し、この副梢に花芽が多く分化する。次年度の着蕾数は副梢及び不定芽由来の結果母枝で多いため、着蕾確保のためこれらの枝を結果母枝に用いる。

園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]果樹類 [分類]普及

[背景・ねらい]

平成8年5月22日午前1時20分から約10分間、浮羽郡の耳納山麓から筑後川にかけての一帯に直径2〜3pのひょうが降り、カキやブドウ等多くの果樹が被害を受けた。これまで当地域では果樹へのひょう害が度々発生したが、カキのひょう害に対する報告事例がほとんどなく、次年度への影響が不明である。そこで、カキのひょう害が激しかった吉井町内の被害程度の異なる平坦部と山麓部の2地区のカキ園のひょう害樹の花芽分化や着蕾状況を調査し、今後の指導資料とする。

[成果の内容・特徴]
@降ひょうにより葉に損傷被害を受けたカキ樹は、放任しておけば被害後約1週間頃より新梢の頂芽付近の腋芽が動き始め、10日後以降には副梢が発生する。しかし、被害後に新梢を基部付近の定芽まで切り返した枝は副梢の発生時期が遅れるうえ発生率が低く、副梢の長さは放任枝から発生した副梢より短い(表1)。
A休眠期の1結果母枝当たりに分化した花芽数は、ひょう害を受けた樹で無被害樹より少なくなるが、被害程度による分化数への影響は少ない(図1)。
B発芽後の着蕾数は休眠期の花芽数よりも減少する。また、前年のひょう害の程度が比較的軽くても、前年の着果数が多いと着蕾数は少なくなる(図1)。
C降ひょうによって葉に損傷被害を受けた樹では、不定芽由来の結果母枝や被害後に新梢の頂芽付近から発生した副梢に花芽が多く分化するので、せん定時にこれらの枝を結果母枝として使用することで、次年度の着蕾数が確保できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
@開花期にひょう害を受けたカキ樹の事後対策に活用する。
Aひょう害を受けた樹は、発生した副梢や不定芽を利用してできるだけ早く葉数を確保する。1新梢上に複数発生した副梢は、生育の悪いものを整理し、残った副梢の充実を促す。
B被害樹は次年度の着蕾確保のため落果が終息したら被害程度に応じて摘果する。
[具体的データ]

[その他]

研究課題名:カキの結実及び果実品質に及ぼす降ひょうの影響
予算区分:経常
研究期間:平成8年度
研究担当者:林 公彦、牛島孝策、千々和浩幸
発表論文等:平成8年度果樹関係試験成績書