カキのフジコナカイガラムシの効率的防除法
- [要約]カキのフジコナカイガラムシに対しては越冬期の粗皮剥ぎの効果が高い。薬剤防除では散布回数を増やすより、散布ムラのないように丁寧に散布する方が高い効果が得られる。
- 生産環境研究所・病害虫部・果樹病害虫研究室 [連絡先]092-924-2938
- [部会名]園芸 [専門]作物虫害 [対象]果樹類 [分類]普及
[背景・ねらい]
- 近年、県下のカキ産地ではフジコナカイガラムシの発生が増加している。本種は、防除不徹底園のみならず防除回数の多い園でも多発している例がみられる。そこで、現行の防除法の問題点を明らかにすると共に効果的な防除法を確立する。
[成果の内容・特徴]
- @11月〜3月の越冬時期におけるカキの粗皮剥ぎは、フジコナカイガラムシの耕種的防
除法として効果が高い(表1)。
- A薬剤防除は、適期に手散布で400A/10a以上の薬液をムラがないよう散布すると効果が
高い。しかし、少量の薬液をスピードスプレイヤ(SS)などで散布した場合には死角
ができやすく、死角となる樹では散布回数を増やしても効果が低い(表2)。
- B新薬剤のモスピラン水溶剤2000倍およびオリオン水和剤40の1000倍は、現行のスプラ
サイド水和剤1500倍に比べて同等またはそれ以上の効果がある(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- @県病害虫防除基準に掲載し活用する。
- Aスピードスプレヤ(SS)による防除では、死角が生じないように必要に応じて散布
コースを調整し散布量を増やす。また、手散布においても高圧力で散布し、かけムラが
できないよう散布量を確保する。
- B越冬幼虫の離脱時期(4月中旬〜5月上旬)および第1世代幼虫ふ化時期(6月中〜
下旬)は、防除上特に重要な時期なので400A/10a以上の薬量を手散布することが望まし
い。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名:カキのフジコナカイガラムシの効率的防除
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成8年度(平成6〜8年)
- 研究担当者:堤 隆文・津田勝男・大平喜男
- 発表論文等:平成6〜8年度生産環境研究所病害虫部果樹病害虫関係試験成績概要書