[要約]
「大石早生李」では、ウイロイドに罹病すると着色初期の果皮において斑入り様の着色障害が認められる。「ソルダム」では、ウイロイド罹病樹の果実はフリー樹に比べ糖度が低く、果肉の着色も劣る傾向が認められ、この傾向は露地栽培よりも施設栽培で顕著である。
果樹苗木分場・ウイルス無毒化研究室
[連絡先] 09437-2-2243
[部会名] 園芸
[専門] 病害虫
[対象] 果樹類
[分類] 指導
[背景・ねらい]
本県の特産果樹として推進されているスモモにおいて、ウイロイド病の発生が確認された(平成5年 農業関係試験研究の成果)。
そこで、スモモウイロイド病が果実品質に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
@スモモの品種「大石早生李」では、着色初期の果皮において斑入り様の着色障害が認められるが、成熟期には不明瞭になる(データ略)。
A「大石早生李」のウイロイド罹病樹の果実とフリー樹の果実では、リンゴ酸含量で差が認められるが、糖度及び硬度では明らかな差は認められない(表1)。
B「ソルダム」では、年次により変動があるものの無加温ハウスのウイロイド罹病樹の果実は、フリー樹に比べ糖度が低く、「ソルダム」の特徴である果肉の着色も劣る傾向が認められる(表2)。
C「ソルダム」では、露地栽培に比較して施設栽培の方が、ウイロイドの果実品質に対する影響が大きい(表2)。
[成果の活用面・留意点]
@果樹病害虫防除基準作成の指導資料に供する。
A「ソルダム」の罹病樹は早急にフリー樹と改植更新する。
B斑入り症状が認められる「大石早生李」も、伝染源となるので早急にフリー樹と改植更新する。
Cスモモウイロイドは、器具によって伝染するため、管理作業においては器具消毒を励行し、ウイロイド感染拡大防止に努める(平成6年度 農業関係試験研究の成果,「スモモウイロイド病の器具伝染防止法」を参照のこと)。
[具体的データ]
表1 ウイロイド罹病「大石早生李」の果実品質(平成3年)
注)*:5%水準で有意 −:未調査
表2 ウイロイド罹病「ソルダム」の果実品質
注)@果肉度は、果実横断面に占める黄色部の割合が20〜50%を軽、51〜80%を中、
80%以上を甚とし、((軽×1)十(中x×)十(甚×5))/(調査数×5)×100
で算出。
A*:5%、**:1%水準で有意差あり。
[その他]
研究課題名:果樹ウイルス病様症状の診断と対策
予算 区分 :経常
研究 期間 :平成6年度(平成2〜6年)
研究担当者:下村克己、草野成夫、平島敬太
発表論文等:平成4〜6年度果樹苗木分場成績書