スモモ新品種「筑波5号」、「ハニーローザ」の特性


[要約]
 スモモ品種「筑波5号」は糖度が高く、酸が少ない。開花期は既存の品種より早く、収穫期は「大石早生李」と「ソルダム」の間に位置し、有望である。「ハニーローザ」は1果重は小さいが、糖度が高く、果実品質は優れ、収穫期が早い。     

園芸研究所果樹部落葉果樹研究室
[連絡先] 092-922-4111
[部会名] 園芸
[専門]   栽培
[対象 ]  果樹類
[分類]   普及


[背景・ねらい]
 現在、県内で栽培されてるスモモは「大石早生李」と「ソルダム」が主要品種で、この2品種の生産量はスモモ生産量の90%を占めている。スモモの収穫労力の分散及び販売期間の延長による経営改善を図るため、品質が優れ、収穫期が両品種と重ならない優良品種の選抜が望まれている。そこで、農林水産省で育成されたスモモの第1回系適供試品種の中から、有望と思われる「筑波5号」、「ハニーローザ」の特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1)筑波5号
@樹勢は中程度で、枝の発生密度、短果枝の着生、花芽の着生及び花粉は多い。自家結実率が低く生理落果は多いが、受粉樹があれば結実は比較的安定し、収量も多い(表1)。

A1果実重は「大石早生李」より約17g大きいが、「ソルダム」より25g程度小さい。糖度は「大石早生李」より約2.5%高く、酸が少ないため食べ易い(表2)。

B開花期は3月21〜31日で、「ハニーローザ」に次いで早い(図1)。

C収穫期は7月10〜18日で、「大石早生李」と「ソルダム」の中間である(図2)。

2)ハニーローザ
@樹勢、枝の発生密度、短果枝の着生及び花芽の着生はいずれも中程度である。花粉は多いが自家結実率は低く、収量の変動が激しい(表1)。

A1果実重は「大石早生李」より約14g小さいが、糖度は「大石早生李」より約4%高く、多汁で果実品質は優れる(表2)。

B開花期は3月19〜30日で、供試品種の中では最も早い(図1)。

C収穫期は6月22〜26日で、「大石早生李」の収穫期後半以降に収穫される(図2)。

[成果の活用面・留意点]
@福岡県の果樹奨励品種の解説に搭載し、技術資料として活用する。

A「筑波5号」は開花期が早いため人工受粉等の結実管理に努める。

B「ハニーローザ」は早期摘蕾・摘果を行い、果実肥大に努める。


[具体的デ−タ]



  図1 スモモ品種の開花期(昭和63〜平成6年)     図2スモモ品種の収穫期(昭和63〜平成6年)


  表1 スモモ品種の生育特性表(昭和63〜平成6年)
 
 注)@収量は平成3〜6年の1樹平均収量。
   A自家結実性は平成6年の調査結果。


  表2 スモモ品種の果実特性表(昭和63〜平成6年)

 注)@硬度はユニバーサル硬度肘で測定。
   A糖度は屈折糖時計で測定。


[その他]
研究課題名:育成品種系統適応性試験 スモモ
予算 区分 :経常
研究 期間 :平成6年度(昭和60年〜平成6年)
研究担当者:林公彦、牛島孝策、千々和浩幸、姫野周二、吉永文浩、恒遠正彦
発表論文等:平成4〜6年果樹関係試験成績書