モモ新品種「なつおとめ」の特性

[要約]モモ新品種なつおとめ」は、収穫盛期が7月25日〜8月5日頃で「あかつき」と「川中島白桃」の間に収穫できる中生種である。収量は「あかつき」より少ないが、果実重は250〜300gと大果で、果皮の着色及び玉揃いは良好で外観が優れ、糖度は12〜13度で酸味は少なく、良食味である。

豊前分場・果樹研究室

連絡先

0930-23-0163

部会名
 

 園 芸
 

専門
 

  栽培
 

対象
 

 果樹類
 

分類
 

  指導
 
[背景・ねらい]                              
 モモは品種ごとの収穫期間が短いため、早生から晩生種までを組み合わせた栽培が行われている。豊前分場ではこれまでに収量性と果実品質が優れる数品種を選定したが(平成7年度農業関係試験研究成果)、中生種「あかつき」と晩生種「川中島白桃」の間に収穫される品種については、いずれも収量が不安定で果実品質の優れたものがなかった。農林水産省果樹試験場で「あかつき」と「よしひめ」の交雑実生から選抜した中生系統の「筑波111号」は、全国の特性検定試験の結果から優秀性が認められ、平成11年8月に「なつおとめ」として農林登録された。そこで、モモ新品種「なつおとめ」の特性を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]                            
1. 樹勢は中程度、樹姿は開帳性と直立性の中間で、花芽の着生が良く、花粉も多く結実しやすい(データ略)。
 
2. 満開期は4月上旬で、収穫盛期は「あかつき」より10日ほど遅い7月25日〜8月5日頃である。また、収量は「あかつき」より少ない(表1)。
 
3. 果形は偏円形で果実重は250〜300gとなり、「あかつき」より大果である。果皮の着色及び玉揃いは良好で外観が優れ、無袋栽培も可能である。果肉は白色、溶質でしまり、核は粘核である。糖度は12〜13度で「あかつき」と同程度に高く、酸味は少なく食味が優れる(表2、一部データ略)。
 
[成果の活用面・留意点]                          
 1. 「福岡県の果樹推奨品種」を選定する際の参考資料として活用できる。
 2. 収穫が遅れるとみつ症状が発生することがあるので、適期収穫を心がける。
 
 [その他]
  研究課題名:モモの品種・系統適応性
  予算区分:経常
  研究期間:平成11年度(昭和54年〜継)
  研究担当者:矢羽田第二郎、野方仁、粟村光男
  発表論文等:平成7〜11年豊前分場果樹試験成績書