中晩生カンキツ新品種「はるか」の収穫適期と果汁の糖、有機酸組成

[要約]カンキツ「はるか」の収穫適期は、完全着色となり糖度が13度に達する2月中旬である。成熟果の果汁の糖含量は、「日向夏」に比べて多く、ショ糖の割合が高く甘味が強い。有機酸はクエン酸の割合が低く、リンゴ酸の割合が高い。

園芸研究所・果樹部・常緑果樹研究室

連絡先

092-922-4946

部会名
 

 園芸  
 

専門
 

  栽培
 

対象
 

 果樹類
 

分類
 

  普及
 
[背景・ねらい]
 中晩生カンキツ「はるか」は、福岡県二丈町の農家が「日向夏」の実生を選抜して育成した品種で、平成8年に品種登録された。減酸が早く、爽やかな食味を持ったカンキツとして、本県をはじめ他県からも注目されている。本県では「日向夏」より早熟な品種として糸島、粕屋郡を中心に導入が進められているが、果実の特性など不明な点が多い。このため、果実の成熟過程における果汁成分の時期別変化について調査し、収穫適期と品質特性を明らかにする。(要望機関名:福岡普(H7))
                               
[成果の内容・特徴]                            
1.「はるか」は、12月中旬から着色し始め、2月中旬には完全着色となり、糖度は13度、遊離酸含量は0.8g/100ml以下になって収穫適期となる。また、貯蔵期間中も糖度は増加し、5月中旬には15度に達するが、遊離酸含量の変化は小さい(図1)。
 
2.成熟果の果汁の糖含量は、「日向夏」に比べて多く、特にショ糖の割合が約70%と高い。また、有機酸含量は少なく、クエン酸の割合が約40%で「日向夏」に比べて低く、リンゴ酸の割合が高い(表1)。  
 
[成果の活用面・留意点]
1.「福岡県の果樹推奨品種」選定の資料として活用できる。
2.樹勢、収量は「日向夏」と同程度である。栽培適地は2月まで果実が樹上で越冬可能な地域とする。自家和合性であるため、受粉樹の混植は必要ない。
3.気温が高くなる3月以降では果肉のす上がりや退色を助長することがあるため、収穫期が遅れないようにする。
 
[その他]
研究課題名:晩生柑の品種比較
予算区分:経常 
研究期間:平成11年度(昭和55〜継) 
研究担当者:松本和紀、堀江裕一郎、大庭義材
発表論文等:カンキツ新品種「はるか」の成熟に伴う有機酸および糖の変化、福岡農総試研報、19号、2000.