カキ平棚栽培における管理作業時間短縮のための冬季せん定技術
[要約]
カキ平棚栽培の冬季せん定において、側枝誘引に結束機を使用するとせん定時の誘引作業時間が短縮される。現在使用している結果母枝より短い枝を使用するか、結果母枝の先端3芽を切り返すと摘蕾、摘果作業時間が短縮される。
園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]果樹類 [分類]普及
[背景・ねらい]
カキの平棚栽培では、他の棚栽培果樹と同様に冬季せん定と誘引を同時に行うため、せん定作業に立木栽培より長い時間を要している。また、せん定以外の管理作業時間は立木栽培より短くなるが、着蕾数が増加することから立木と同じ長さの結果母枝を使用すると、摘蕾作業時間は摘果や収穫作業のようには短縮されない。そこで、平棚栽培におけるせん定時の誘引作業や摘蕾作業時間を短縮するための冬季せん定技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
1 カキ平棚栽培の冬季せん定において側枝の誘引に結束機を使用すると、紐で誘引しながらせん定する現在のせん定法よりせん定作業時間が1u当たり20%短縮され、立木栽培でのせん定作業時間と変わらなくなる(表1)。
2 カキ平棚栽培において現在使用している結果母枝(立木と同様で、平均約25p)より短い枝(平均約20p)を使用すると、着蕾数が減少して摘蕾数が少なくなり、単位面積当たりの摘蕾作業時間が短縮される。また、生理落果率が高まって着果数が減少するため摘果数が少なくなり、摘果時間も短縮される(表2)。
3 冬季せん定時に結果母枝の先端部3芽を切除する切り返し処理も、短い結果母枝を利用する場合と同様に単位面積当たりの摘蕾、摘果時間が短縮される(表2)。
4 短い結果母枝の利用、結果母枝の切り返し処理による収量や果実品質への影響は認められない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1 カキ平棚栽培での省力化技術として「平棚栽培指導指針」に登載できる。
2 冬季せん定時に使用するテープは強度の強いTAPE-25(赤テープ)を使用し、強勢な側枝を倒し込む場合は結束機で2〜3重に止める。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:カキの平棚栽培技術確立
予算区分:県特
研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者:林 公彦、牛島孝策、千々和浩幸
発表論文等:平成6〜10度園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書、平成6〜10年度農林水産省果樹試験場落葉果樹試験研究成績概要集