樹勢の強いカンキツ「清見」に対するわい性台木の効果

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［要約］

　樹勢の強いカンキツ「清見」の台木として「ヒリュウ」、「曲針」を使用すると樹冠容積が、従来の台木に比較して小さくなる。１樹当たりの収量は少なくなるものの樹容積当たりの収量は多くなる。果実は小さくなるが、品質は変わらない。

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園芸研究所･果樹部･常緑果樹研究室　　　[連絡先]092-922-4111

[部会名]園芸　[専門]栽培　 [対象]果樹類　　[分類]指導

　

［背景・ねらい]

　カンキツの台木として、「ヒリュウ」、「曲針」、「ロブスター」を用いると、従来の台木「カラタチ」に比較して、苗木の生育が抑制されることを平成５年度農業関係試験研究成果で明らかにした。今回は、上記台木に樹勢の強いカンキツ「清見」を接ぎ木し、樹齢の進行に伴う生育や果実収量・品質に与える影響を調査し、樹勢の強い品種・系統に適する台木の特性を明らかにする。

　

［成果の内容・特徴］

　１　「ヒリュウ」、「曲針」を台木に使用すると「清見」は樹齢 8年生で樹冠容積が従　来の台木を使用した場合より小さくなる。１樹当たりの 5年間の累積収量は従来の台木　を使用した場合より少なくなるが、樹冠容積当たりの収量は多くなる。果実の大きさは　従来の台木を使用した場合に比較して小玉果の割合が多くなる(表１、一部データ略)。　果実の色は「ヒリュウ」台で濃いが、果実糖度、クエン酸は従来の台木の場合と変わら　ない（表２）。

　２　「ロブスター」を台木に使用すると、「清見」の樹冠容積は「ヒリュウ」、「曲針　」を台木に使用した場合より、さらに小さくなる。累積収量は従来の台木を使用した場　合の約 4割と少なく（表１）、隔年結果も激しい（データ略）。果実の色は濃く、糖度　が高くなる(表２)。

　３　いずれの台木を使用した場合も果実品質の年次間差がみられる（表２）。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　

［成果の活用面・留意点］　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　１　樹勢の強いカンキツ品種の台木を選抜する際の資料として活用できる。

　２　「ヒリュウ」、「曲針」を台木にする場合は着果負担を軽くし、大玉生産に努める

　

［具体的データ］

　

　［その他］

　　研究課題名：カンキツに対する優良台木の選抜

　　予算区分：経常　

　　研究期間：平成１０年度（平成６〜１０年）　

　　研究担当者：堀江裕一郎、松本和紀、大庭義材、桑原実

　　発表論文等：平成６〜１０年度　園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書