ブドウ品種「宝満」、「博多ホワイト」及び「陽峰」の果房重と果房の外観品質の等級割合
[要約]
ブドウ品種「宝満」は果房重がよく揃い、着色、果粒肥大の揃った外観の良好な果房の割合が高いが、裂果が多い。「博多ホワイト」は果房重と果房の外観がややばらつくが、外観の非 常に優れた果房の割合が高い。「陽峰」は着色、果粒肥大の揃った外観の良好な果房の割合が高 い。
園芸研究所・果樹部・果樹品種研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]指導
[背景・ねらい]
ブドウで新しい品種の収益性や販売方法を検討するに当たって重要な問題となるのが、果房重や果房の外観品質の揃いである。そこで、本県で育成したブドウ品種「宝満」、「博多ホワイト」及び「陽峰」について加温栽培樹での果房重と外観品質の等級割合を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 「宝満」は、全体の72%の果房が300〜400gの範囲にあり(図1)、果房の外観品質の等級割合は、「格外」の割合が非常に少なく、「上」以上の割合が高く(図2)、果房の大きさ、外観品質とも良く揃う。しかし、裂果の発生が多い(表1)。
2 「博多ホワイト」の果房重は、300〜400gの果房が57%、300g未満の果房が25%と、やや果房の大きさにばらつきがみられる(図1)。果房の外観品質の等級割合は、「特上」の割合が高い反面、「並」の割合も高い(図3)。
3 「陽峰」の果房重は、全体の63%の果房が250〜350gの範囲にあり、果房の大きさの揃いは良好である(図1)。また、果房の外観品質の等級割合は、果粒肥大や着色の不揃いによる「格外」の割合が5%(図4)あるが、赤色品種としては外観の良好な果房が多い。
[成果の活用面・留意点]
1 「宝満」、「博多ホワイト」及び「陽峰」の普及、販売に当たっての指導資料とする。
2 「宝満」は収穫直前の降雨による土壌水分の急激な増加によって裂果が発生するので、収 穫の約2週間前からビニル等でマルチを行う。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:新品種「宝満」、「博多ホワイト」、「翠峰」及び「陽峰」の栽培技術の確立
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成5〜10年)
研究担当者:平川信之、白石美樹夫、井樋昭宏、粟村光男、鈴木勝征、能塚一徳
発表論文等:平成5〜10年度園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書