イチジク栽植後の収量の経年変化

[要約]
 イチジクの「桝井ドーフィン」は栽植後の収量の増加が早く、6年でほぼ成木収量に達するのに対して、「蓬莱柿」は5年目頃までの収量が少なく、9年で成収量に達する。また、「蓬莱柿」は「桝井ドーフィン」に比べて果重の年次変動が大きい。

豊前分場・果樹研究室 [連絡先]0930-23-0163
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 本県ではイチジクの栽培面積が増加しているが、植付け後の経営計画策定にあたっては収量の経年変化を把握しておくことが必要となる。しかし、主要栽培品種である[桝井ドーフィンjと「蓬莱柿」の収量の変化については詳細な比較検討が行われていない。そこで、「桝井ドーフィン」及び「蓬莱柿」の裁植後からの収量の経年変化について明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
1 1樹当たりの収量は、「桝井ドーフィン」では樹齢に伴う変化が小さく、栽植後5〜6年以降は5%前後の範囲で斬増するのに対し、[蓬莱柿」では棚冠の拡大に伴って6年以降から著しく増加する(表1)。
2 10a当たりの収量は「桝井ドーフィン」の方が「莚菜柿」より増加が早く、栽植後6年でほぼ成木収量こ達するのに対して、「蓬莱柿」は9年で成木収量に達する(表1)。3 果重は「桝井ドーフィン」の方が「蓬莱柿」より大きく、また「蓬莱柿」は年次変動が大きい(図1)。
4 収穫開始時期は「桝井ドーフィン」の方が「蓬莱柿」より早く、「蓬莱柿」の永久樹と間伐樹にはほとんど差がない(図2)。
 
[成果の活用面・留意点]
1 イチジクの経営計画策定の参考資料として活用する。
2 果重は、乾燥年や低温年に小さくなりやすい。
 
「具体的データ」
 
[その他]
研究課題名:イチジクの品種・系統適応性
予算区分:経常
研究期間:平成10年度{平成7年〜継)
研究抱当者:野方仁、矢羽田第二郎、粟村光男
発表論文等:サンペドロ型及び普遍型イチジクあ果実品質、収量の品種間差異、園芸学会九州支部研究集録、第6号、1998.