カキ平棚栽培における幼木から育成する場合の適正主枝本数
[要約]
カキ平棚栽培において、幼木から育成する場合の主枝本数を2本主枝にすると収量、果実品質、幹周、樹冠面積、新梢長は3本主枝と変わらず、せん定時間が3本主枝より短くなり、立木栽培の1.1倍程度まで短縮され作業効率が向上する。
園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]果樹類 [分類]普及
[背景・ねらい]
樹高が高いカキの慣行立木栽培樹を樹形改造によって平棚栽培へ移行する方式を開発し、カキの平棚栽培では脚立が不要で管理作業の安全化が図られるだけでなく、作業効率の向上、労働負担の軽減、収量の安定、果実品質の向上が可能となることを明らかにしてきた。しかし、幼木から育成して平棚栽培方式にする場合の整枝法については明らかにされていないため、幼木から育成する場合の整枝における適正な主枝本数について明らかにする。
(要望機関名:生産流通課、浮羽普(H4))
[成果の内容・特徴]
1 樹齢8年生の幼木を棚付け(立木から平棚栽培へ移行)した場合、棚付け後5年間の単位樹冠面積当たり収量および収穫果数は、2本主枝と3本主枝では差が認められず同量の収量を確保できる(表1)。
2 棚付け後5年間の果実重、果皮色および果実糖度は2本主枝と3本主枝では差が認められず、同等の果実品質を確保できる(表2)。
3 棚付け後の幹周肥大率と平均新梢長は主枝本数で変わらず、樹冠拡大は棚付け直後から3年目頃まで2本主枝が3本主枝より遅れるが、棚付け後4〜5年すると2本主枝の樹冠面積は3本主枝と同程度となる(図1、表3)。
4 樹冠面積1u当たりのせん定作業時間は2本主枝で3本主枝よりも短くなり、立木の1.1倍程度まで短縮できる(表4)。
[成果の活用面・留意点]
1 カキの平棚栽培指導指針に登載できる。
2 3本主枝では樹冠が円に近い形になるので栽植間隔は縦横同じ間隔とするが、2本主枝整枝法では樹冠が菱形に近い形になるので樹冠占有率を高めるため栽植間隔は縦(主枝)方向を長くし、永久樹が互の目となるよう栽植する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:カキの平棚栽培技術確立
予算区分:県特
研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
研究担当者:林 公彦、牛島孝策、千々和浩幸
発表論文等:平成6〜10度園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書、平成6〜10年度農林水産省果樹試験場落葉果樹試験研究成績概要集