カキ平棚栽培における適正結果母枝数と着果数

[要約]
 カキ平棚栽培適正結果母枝数7本/u適正着果数10果/uとすると、立木栽培と同等以上の収量が確保され、大玉果実生産が可能で、収穫期が早まる。また、結果母枝数を10本/uにするよりせん定作業時間も短縮される。

 園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室  [連絡先]092-922-4111
 [部会名]園 芸  [専門]栽 培   [対象]果樹類  [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 樹高が高く管理作業に脚立が必要なカキの慣行立木栽培樹を樹形改造して、平棚栽培方式を開発した。カキの平棚栽培では脚立が不要で管理作業の安全化が図られるとともに、作業効率が向上し労働負担が軽減され、収量が安定して果実品質が向上することをこれまでに明らかにしてきた。一方で、せん定時の結果母枝の残し方や摘果時の着果基準が不明であることから、平棚栽培における適正結果母枝数と着果数について明らかにする。
(要望機関名:生産流通課、浮羽普(H4))
[成果の内容・特徴]
 1 平棚栽培のせん定における単位樹冠面積当たり結果母枝数を立木栽培の基準と同じ  7本/uにしても、10本/uの場合と収量、果実重、果皮色、果実糖度に差は認め  られず、1u当たり2.5sの目標収量を安定して確保することができる(表1)。
 2 単位樹冠面積当たりせん定作業時間は平棚栽培で立木栽培より長くなるが、平棚栽  培では樹形改造後の樹形の完成に伴って年々せん定時間が短くなり、結果母枝数を7  本/uにすると10本/uの場合よりさらに短くなる(図1)。
 3 平棚栽培の摘果における単位樹冠面積当たり着果数は、立木栽培の基準と同じ10  果/uで12果/uの場合と収量に差は認められず、立木栽培と同等以上の収量確保  が可能である。また、収穫期は12果/uの場合より早まる(表2、図1)。
 4 摘果後の着果数と果実品質の関係では、果実重は10果/uのほうが12果/uよ  り大きくなるが、果皮色、果肉硬度、糖度、ヘタスキ、ヘタ枯れおよび種子数は10  果/uと12果/uでは差が認められず同等である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
 1 カキの平棚栽培指導指針に登載できる。
 2 10a当たり目標収量を2,500s、果実重を250gとすると、1u当たり7  本の結果母枝を残すせん定では、1結果母枝当たり1.4果の果実を着果させ、10  a当たり10,000果の果実を確保する。
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:カキの平棚栽培技術確立
 予算区分:県特
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:林 公彦、牛島孝策、千々和浩幸
 発表論文等:平成6〜10度園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書、平成6〜10年度農林水産省果樹試験場落葉果樹試験研究成績概要集