カキ「新秋」の雨よけ栽培による品質向上

[要約]
 カキ新秋」を雨よけ栽培することにより果皮色が向上し、果皮に生じる汚損の程度が軽くなる。また、果実糖度が向上し、可溶性タンニン含量は低下する。3月中旬のビニル被覆により、熟期は1週間早くなる。

 園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室  [連絡先]092-922-4111
[部会名]園  芸  [専門]栽 培 [対象]果樹類  [分類]普及
 
[背景・ねらい]
 カキ「新秋」は食味が良好なため、本県カキの補助品種として県内への導入が検討されている。しかし、「新秋」は、果皮の着色が不良であり、汚損果が発生しやすい。また、年により渋残りする果実の発生がみられることがある。そこで、雨よけ栽培による果実品質向上を図る。(要望機関名:生産流通課、久留米普(H6))
 
[成果の内容・特徴]
 1 カキ「新秋」を雨よけ栽培することにより果皮色が向上し、果皮に生じる汚損の程  度が軽くなる(表1、2)。
 2 果実糖度が向上し、可溶性タンニン含量は低下し、渋味を感じにくくなる。一方、果重や果肉硬度には違いがみられない(表1、3)。
 3 「新秋」を3月中旬にビニル被覆することにより、熟期が1週間早まる(表1)。
 4 樹の生育が旺盛になり、新梢長や総伸長量が増加する(表4)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 「新秋」の雨よけ栽培の推進資料として活用できる。
 2 花芽の確保は容易であるので、結果母枝が長い場合は5〜7芽程度切り返す。
 3 生理落果防止のため、人工受粉を励行する。     
 4 新梢が徒長する場合は、稔枝や摘心による夏枝管理を行う。
 5 着色開始期以降は汚損果防止のため換気を十分に行い、湿度の低下に努める。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:落葉果樹の施設栽培に関する研究
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成6〜10年)
 研究担当者:千々和浩幸、林公彦、牛島孝策
 発表論文等:平成6〜10年 園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書