日本ナシ新品種「あきづき」の特性

[要約]
 農林水産省で育成された日本ナシ新品種「あきづき」は、9月中旬に収穫可能な赤ナシで、「豊水」より果実重が重く、肉質が軟らかくて糖度の高い食味の良好な品種である。

 園芸研究所・果樹部・落葉果樹研究室  [連絡先]092-922-4111
 [部会名]園  芸 [専門]栽 培 [対象]果樹類  [分類]指導
 
[背景・ねらい]
 本県の日本ナシの品種構成は、「幸水」及び「豊水」が栽培面積の81%を占めており、 8月に果実の出荷量が集中している。近年、「幸水」及び「豊水」の販売価格の低下、収穫労力の集中から、中〜晩生の優良品種の導入が望まれている。そこで、農林水産省で育成された赤ナシの新品種「あきづき」の特性を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
  日本ナシ新品種「あきづき」は次のような特性を有する。
 1 樹体の特性は、樹勢が中で短果枝の着生が中程度、えき花芽の着生は少ない(デー  タ略)。
 2 開花期は 4月10〜20日で、「豊水」より遅く、「幸水」より早い。開花盛期は「新高」より 2日遅く「幸水」より 2日早い(図 1)。
 3 収穫期は 9月中旬で「豊水」と「新高」の間、収穫盛期が 9月12日、開花盛期から収穫盛期までの平均気温の積算温度が 3,657℃である(図 2、表 1)。 2年間の 1樹当たり累積収量は16.0kgで、「幸水」や「豊水」より少ない(表 1)。 
 4 果実重は434gで「豊水」より大きく「新高」より小さい。果肉硬度は3.3lbsと軟らかく、糖度は12.3%と高く、果汁のpHが 5.1である(表 1)。
 5 収穫適期は、糖度が12%を超え、果実重が 350〜400g、果肉硬度が3.5lbs程度で、デンプン臭がなくなる満開後 150日以降と考えられ、開花盛期からの平均気温の積算温度3,500℃程度が収穫始期の目安となる(表 2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 「豊水」と「新高」の間に収穫できる有望な品種であり、種苗登録後に品種選定の資料として活用できる。
 2 交雑和合性は、「幸水」、「豊水」、「ゴールド二十世紀」、「新高」との間に認められているが、「筑水」とは不和合性である。
 3 収穫が遅れると比重が低下し、す入り症状が発生する場合があるため、収穫が遅れないようにする。
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:育成品種系統適応性 ナシ第6回
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成 4〜継)
 研究担当者:牛島孝策、林公彦、千々和浩幸
 発表論文等:平成5〜10年度園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書、平成5〜10年度農林水産省果樹試験場果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会資料