ブドウ品種「翠峰」のジベレリン処理による無核果実安定生産技術
[要約]
ブドウ品種「翠峰」は、満開日と満開10〜15日後にジベレリン12.5?水溶液を花(果)房浸漬処理することで果粒肥大の良好な無核果実を安定して生産できる。
園芸研究所・果樹部・果樹品種研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]指導
[背景・ねらい]
「翠峰」は大粒で果実品質が優れ、将来の有望品種として期待されるが、花振るいが多く、有核果実の生産が不安定である。そのためジベレリン処理登録内容に沿って無核化及び結実向上が図られているが、経済的な処理濃度や果粒肥大の最も良好となる処理時期については十分明らかになっていない。そこで、ジベレリン処理における最適な濃度および時期を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
1 ジベレリン処理濃度は1回目(満開日)、2回目(満開10日後)とも12.5ppmまたは 25ppmいずれでも有核果の混入は認められず、果粒重に差はなく、1房あたりの着粒数30粒以上を十分確保でき、安定して無核果実が得られる(表1)。
2 2回目のジベレリン処理を満開15日後に行うことにより、果粒肥大は最も良好となり、9日後、20日後では有核果実と同程度の肥大である。なお、ジベレリン処理時期が遅くなるほど果点数が増加する傾向が認められる(表2)。
3 ジベレリン処理果は無処理果(有核果)に比べ果粒が縦に長くなり長楕円形となる。また、果肉特性はやや塊状に近くなり、果肉はやや軟らかくなる場合があるが、食味が無処理果(有核果)より劣ることはない(表1、2)。
[成果の活用面・留意点]
1 「翠峰」の無核果実生産のための指導資料として活用できる。
2 本法は健全な樹勢の樹に適用し、樹勢の弱った樹には適用しない。
3 「翠峰」のジベレリン処理登録は「第1回処理が開花時から満開
3日後に12.5ppm〜25ppmで花房浸漬、第2回処理が満開10〜15日後に25ppmで果房浸漬処理する」である。
3 2回目のジベレリン処理時期が遅くなると果点の発生が増加するので注意が必要である。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:「翠峰」の無核化安定生産技術の確立
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成7〜10年)
研究担当者:白石美樹夫、平川信之、井樋昭宏、粟村光男、鈴木勝征、能塚一徳
発表論文等:平成7〜10年度園芸研究所果樹部果樹関係試験成績書