シンテッポウユリのセル成型育苗における肥効調節型肥料の施肥方法

[要約]シンテッポウユリのセル成型育苗において用土に肥効調節型肥料(N−P2O5−K20=12−10−ll、25℃溶出日数100日タイプ)を窒素成分で用土1L当たり200r施肥すると、切り花の秀品率が液肥による慣行施肥に比べて高くなる。


園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]花き類 [分類]普及


[背景・ねらい]

近年、シンテッポウユリは水田転作花きとして作付が増加しており、育苗はセル成型育苗が多くを占めている。しかし、シンテッポウユリは播種から定植までの育苗期間が3〜4ヵ月に及ぶため、セル成型育苗は地床育苗に比べて、施肥や水管理に多くの労力を要する。また、液肥による定期的な施肥が行われない場合には、定植時に肥料が切れ、定植後の生育が停滞して切り花品質が低下する等の問題も生じている。そこで、施肥管理の省力化と切り花の秀品率の向上を図るため、育苗時における肥効調節型肥料の施肥方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 育苗用土に肥効調節型肥料(N−P2O−K2O=12−10−11)を施用する場合、発芽率は肥料の溶出日数が短く、施肥量が多いほど低下する傾向があり、25℃溶出日数が70日と40日タイプの肥料を窒素成分で用土1L当たり600r施肥すると著しく低下する(表1)。
2 「ふくれん西尾1号」の秀品率は、70日または100日タイプを200〜400r/4施肥すると液肥施用と同等以上に高くなり、中でも100日タイプを200r/L施肥した場合に最も高くなる(表2)。
3 「ふくれん西尾2号」の秀品率は、肥効調節型肥料を施肥すると液肥施用に比べて高くなる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 シンテッポウユリ栽培地域における技術資料として栽培技術指針に登載し、活用する。
2 用土に肥料を混入する際は十分に混合し、むらができないようにする。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:シンテッポウユリの生育開花調節
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成6〜8年)
研究担当者:松井洋、谷川孝弘、國武利浩、小林泰生
発表論文等:平成7〜9年度園芸研究所野菜花き郎花き花木研究室試験成績書