キクのセル成型育苗法


[要約]
キクのセル成型育苗においては、トレイのセル数が162以下(1セル 容量21ml以上)を使用し、用土の配合割合(容量)をピート:パーライト=1 :2または1:3、あるいはピート:パーライト:バーミキュライト=1:1 :1とし、挿し芽後から液肥を750倍で施用すると苗の生育がよい。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先]  092-922-4111
[部会名] 園  芸 
[専門] 栽 培
[対象] 花き類
[分類] 研究


[背景・ねらい]
 キク生産におけるセル成型苗の利用は、育苗の分業化・省力化を目的として増加する傾向にある。しかし、挿し芽苗の健全な発根及び根鉢形成や、定植後の生育促進を目的としたセル成型育苗の具体的方法については明らかにされていない。そこで、使用するセルの大きさ、用土の配合割合及び苗に対する液肥の施用方法などについて検討し、セル成型育苗技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
@キクのセル成型育苗におけるセルの大きさは、トレイのセル数が98(1セル容量39ml)、128(30ml)または162(21ml)がよい。セル数200(12ml)では挿し芽後の根の伸長や根鉢の形成が悪く、不適当である。(表1)。

A定植可能な根鉢形成(根鉢程度3.5以上)までの期間は、セルの大きさによって異なり、セル数162では挿し芽後18日、128及び98では20〜22日程度必要である(表1)。

Bセル成型用土の配合割合は、容積比でピート:パーライト=1:2または1:3、あるいはピート:パーライト:バーミキュライト=1:1:1とすると挿し芽後の発根及び根鉢形成が優れ、定植後の生育もよい(表2)。

Cセル成型苗に対する液肥の施用は、希釈倍数を750倍とし、挿し芽翌日から5日間隔で施用すると苗の生育がよくなる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@キクのセル成型育苗における技術資料として活用する。

Aセル成型用土としてピートやパーライトを使用する場合には、吸水に時間がかかるので、挿し芽前に用土と水分を十分になじませておく。また、ピートはpH調整したものを使用するのが望ましい。


[具体的データ]






[その他]
研 究 課 題 名:キクのセル成型育苗と作型適応性
予 算 区 分:経常
研 究 期 間:平成7年度(平成5〜7年)
研 究 担 当 者:谷川孝弘、小林泰生、松井 洋
発 表 論 文 等:平成5〜7年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書