セル成型トレイを利用した宿根アスター吸枝苗の長期貯蔵法


[要約]
 宿根アスターの吸枝苗をセル成型トレイを利用して長期貯蔵する場合 には 用土はパーライト単用とし、苗への灌水を貯蔵開始4〜6日前に打ち切 って−1〜−2℃で貯蔵すると、貯蔵中の腐敗株が少ない。株の掘り上げ時期 は2〜3月初旬がよい。


園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先] 092-922-4111
[部会名]  園  芸 
[専門]栽 培
[対象] 花き類
[分類] 研究


[背景・ねらい]
 宿根アスターの秋冬出し栽培では、定植時期が7〜10月であるため春からの親株管理の期間が長いこと、また夏の高温期には挿し穂の発根が悪く、健苗の確保が問題となっている。このため、吸枝苗の長期貯蔵による秋冬出し栽培を確立したが、さらに定植管理の省力化と活着促進を図るためには、セル成型苗の利用が望まれている。そこで、セル成型トレイを利用した吸枝苗の長期貯蔵において、貯蔵中の苗の腐敗を少なくするための用土の種類、水分条件及び株の掘り上げ時期等について明らかにする。

[成果の内容]
@セル成型トレイを利用した吸枝苗の長期貯蔵法としては、用土の種類をパーライト単用とすることにより、2月から10月まで約8ヶ月間にわたって貯蔵中の株の腐敗がなく、高い生存株率を維持できる(表1)。
Aセル成型用土の水分条件は、挿し芽後の灌水を貯蔵4〜6日前に打ち切って貯蔵するのがよく、12月までの長期間にわたり高い生存株率を維持できる。その場合の用土の含水比は200±20%程度である(表2)。
B株の掘り上げ時期は2〜3月初旬がよく、貯蔵中の腐敗株の発生が少ない。また、株の掘り上げ時期が遅いほど開花日がやや遅れる傾向にあるが、切り花品質に対する悪影響はない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@宿根アスターの秋冬出し産地における健苗確保のための技術資料として活用する。
Aセル成型苗の貯蔵は、トレイ全体をポリエチレンフィルムに包んで−1〜−2℃の冷蔵庫に入庫する。
Bセル成型苗の貯蔵終了後は、室温で1週間程度ならしを行った後、定植する。


[具体的データ]






[その他]
研 究 課 題 名:宿根アスターの吸枝の長期貯蔵と作型
予 算 区 分:経常
研 究 期 間:平成7年度(平成6〜7年)
研 究 担 当 者:谷川孝弘、小林泰生、松井洋
発 表 論 文 等:平成6〜7年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書