電照ギク 「秀芳の力」 から選抜した優良系統の特性


[要約]
 電照ギク品種「秀芳の力」の中から、低温黄における伸長性及び花色・花容の優れた4系統を選抜した。No.15、141、225は在来系よりも花のボリュームがあり柳葉の発生が少ない。No.237は花色が純白で、葉が小型で直立性である。  

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室
[連絡先]   092-922-4111
[部会名]   園芸
[専門]     栽培 
[対象]    花き類
[分類]    指導


[背景・ねらい]
  福岡県の電照ギク生産は作付面積168ha、生産額47億円(平成5年度)で順調に増加している。主要品種は「秀芳の力」で、作付面積の85%を占めており、草姿のバランスや日持ちがよいことから市場評価が高い。しかし、この品種は伸長・開花に高温を必要とし、また、20年以上に渡って栽培されてきたことから花弁の濁り・奇形花・赤茎などの不良形質を生じており、品質上問題となっている。そこで、県内から収集した「秀芳の力」194系統を対象に、低温期の伸長性がよく、花色・花容の優れた系統を選抜すると同時に、主要作型である12月出し栽培における開花特性を把握する。

[成果の内容・特徴]
@一次選抜した9系統の中で、No.15,141,225及び237の4系統は、いずれも在来系より切り花長が長く、舌状花数が多く、切り花品質がよい。特に、No.15,141及び225は花のボリュームがあること、また、No.237は花色が純白で、葉が小型で直立性であることが特徴的である(表1)。

A12月出し栽培(無摘心)における在来系の定植適期は、切り花長等の点から9月2〜7日であるが、選抜した4系統は、9月12日頃まで定植が遅くても十分な切り花長を確保できる。また、定植時期が早く、消灯までの期間が長くても、柳葉の発生は少ない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
キクは芽条変異を生じやすいため、不良形質を認めた株は除去するように努め、翌年の親株としない。


[具体的データ]

 表1 12月出し栽培における選抜9系続の開花と切り花形質(平成5年)

 注)@定植日:9月6日、消灯日:10月25日、無摘心栽培
   A評価◎:非常に優れる、○:優れる、△:普通
   B在来系は園芸研究所保存


  表2 12月出し栽培における定植時期が選抜系統の開花と切り花形質に及ぽす
     影響(平成6年)


  注)消灯日:10月20日、無摘心栽培


[その他]
研究課題名:電照ギク品種「秀芳の力」の優良系統選抜
予 算 区 分:経常
研 究 期 間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:谷川孝弘、小林泰生、松井洋
発表論文等:平成4、5、6年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書