キク親株の循環式養液栽培における培地としての粉砕スギ皮の利用

[要約]キク親株循環式養液栽培で、培地に、有機質資材として農地に還元できる粉砕スギ皮を用いても、ロックウール耕と同様に、半年以上に渡って挿し穂が生産でき、慣行の土耕栽培に比べて、生産効率が飛躍的に高くなる。

園芸研究所・野菜花き部・花き花木研究室

連絡先

092-922-4364

部会名
 

   園  芸
 

専門
 

  栽 培
 

対象
 

花き類
 

分類
 

指 導
 
[背景・ねらい]
  施設ギクの周年生産におけるロックウール耕による親株栽培は、高品質苗の長期安定生産技術として有効であることを明らかにした(平成9年度成果)。ロックウールは、培地資材として優れた特性を有しているが、まったく分解しないために、使用後の処理方法が問題であり、また、かけ流し式養液栽培では、廃液の適正な処理が求められている。
  そこで、培養液管理を循環式としたキク親株の養液栽培において、使用後の培地を有機質資材として農地に還元することができる粉砕スギ皮の利用技術を確立する。
 
[成果の内容・特徴]
1.粉砕スギ皮は、ロックウールの代替培地として使用でき、価格はロックウールの3分の1と安価である。培養液の循環は、タンクから給液した培養液を廃液パイプの高低差により再びタンク内に戻し、タイマーで制御した水中ポンプにより給液する(図1)。
 
2.培地として粉砕スギ皮を利用した挿し穂の収量(採穂数)は、ロックウール培地とほぼ同等であり、半年以上の長期に渡って、安定的に挿し穂を生産できる(表1)。
 
3.5月から12月まで長期間挿し穂を生産する場合、循環式養液栽培では、慣行の土耕栽培に比べ、親株作付回数は4分の1、作付面積は59%、必要親株数は18%に低減できる(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1.電照ギク産地における安定的な挿し穂生産方式として導入できる。
 2.乾燥した粉砕スギ皮は、水をはじくので親株植え付け前に十分に湿らせておく。
 
[その他]
 研究課題名:新養液栽培方式によるキクの超効率的苗生産技術の開発
 予算区分:県特
 研究期間:平成11年度(平成10〜11年)
 研究担当者:谷川孝弘、黒柳直彦、國武利浩
 発表論文等:平成10〜11年度園芸研究所野菜花き部花き花木研究室試験成績書