かん水チューブの種類別かん水特性
 
[要約]
 数種類のかん水チューブのかん水精度を測定した結果、点滴タイプのチューブが散水
タイプに比べて高いかん水精度を示す。点滴タイプのかん水チューブは、水圧、かん水
時間にかかわらず高いかん水精度を示し、勾配をつけた場合でも高いかん水精度を維持
できる。
 
園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室   連絡先:092−922−41111
            野菜品種研究室
部会名:園芸 専門:農業施設 対象:野菜・花き類 分類:指導
 
[背景・ねらい]
 近年、野菜・花き生産においてロックウール耕栽培、高設栽培、養液土耕栽培などの
新しい栽培法が注目されている、これらの栽培法はいずれも精度の高いかん水および養
液供給が必要とされるが、かん水チューブ別にその特性や精度を調査した事例は少なく
生産者はカタログデータや勘に頼ってかん水資材の選定および設置を行っているのが現
状である。そこで、イチゴ高設栽培用の樹脂製栽培槽を利用した簡易なかん水精度測定
法(図1)を用いて、かん水チューブのかん水精度および資材の特性を明らかにし、か
ん水資材選定の資料とする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 50mのかん水距離を設定した場合、散水タイプのかん水チューブは末端に近づ
くにつれて吐出水量が減少していくが、点滴タイプでは均一ながん水精度を示す(表1
図2)。
 2 点滴タイプのかん水チューブは、水圧にかかわらず、また、かん水時間を短くし
ても高いかん水精度を示す(図3,4)。
 3 2.1%の勾配をつけた場合、かん水距離30mの地点における吐出水量率の差
は、散水タイプは勾配の上りでは−45%、下りでは+47%に対して、点滴タイプは
上りでは−10%、下りでは+8%であり、均一なかん水精度を確保できる(図5)。
[成果の活用面・留意点]
 1 かん水資材の選定資料として活用する。
 2 点滴タイプのかん水チューブは、一般に低流量でのかん水に利用されるため、か
ん水設備の簡易化が図れる。
 3 かん水時間は水圧、かん水距離を考慮して設定する。
 4 点滴タイプの資材チューブを使用する場合は、目詰まり防止のためフィルター等
を使用する。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:作畝様式・潅水方式列生育・収量と土壌水分制御方法
予算区分:経常
研究期間:平成10年度(平成9〜10年)
研究担当者:井手治、伏原肇、三井寿一
発表論文等:平成10年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室成績概要