イチゴ用自走式多目的作業車利用による無人防除技術
[要約]イチゴ用自走式多目的作業者に畝跨ぎ懸垂式噴口を装着した無人防除では、
作業速度を0.4m/s程度とし、畝溝部分に下垂した噴口の角度を進行方向に対して
40度とすることにより、手作業とほぼ同等の薬剤付着精度が得られる。また、作業時
間は慣行作業の約1/3となる。
園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室 連絡先:092−922−4111
部会名:園芸 専門:作業 対象:果菜類 分類:普及
[背景・ねらい]
イチゴの病害虫防除作業は、中腰で行うため足や腰への負担が大きい。 また、ハウ
ス内の作業であるために、作業者は農薬に曝露され易いことが問題になって いる。そ
こで、平成7年度に本県が民間企業と共同で開発したイチゴ用自走式多目的作 業車を
利用した高精度の無人防除技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
1 畝跨ぎ懸垂式噴口を装着した作業車は、畝に沿って自走散布を行い、ハウス内で
は無人での防除作業を行うことができる(図1,2)。
2 作業車の作業速度は0.4m/s程度が良い(表1)。また、畝溝部分に下垂した
噴口の角度を進行方向に対して40度とし、噴口を15度上向きに(装着)すると中・
下葉の薬液付着精度が優れる(表2、図3、一部データ略)。
3 作業車利用での防除作業は1人で行うことができ、1回の作業時間は慣行の手作
業の約1/3で済む(表3)。
4 無人防除での作業者の作業内容は、動力噴霧機とホースの操作および作業車の畝
移動だけであるため、慣行の人力作業に比べて身体負担を軽減できる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
1 イチゴの自走式多目的作業車利用による防除作業の技術資料として活用する。
2 本防除法は、作業車が直進可能で、畝端での自動停止・後進の機能を具備してい
ることを条件に、他の自走式作業車にも遺応できる。
3 本防除法では、作業車の軌間移動のために約1.5m幅の枕地が必要である。
4 外成りの作畝方式では、イチゴの果実を傷めないように畝溝幅を広くする等の対
応が必要である。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:イチゴ多目的作業車の利用技術
予算区分:経常、受託(農産振)
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:森山友幸、真鍋尚義、姫野修一、井手 治
発表論文等:平成8,9年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室成績概要