イチゴ棚式育苗システム利用による葉菜類の液面上下式簡易水耕栽培装置
 
[要約]イチゴ棚式育苗システムを利用して、液面を上下させて根部へ空気を供給でき
る簡易水耕栽培法を開発した。本栽培法は、高価な施設や培土を必要とせず、快適な作
業姿勢でサラダナ、葉ネギ等の葉菜類の生産が可能である。
 
園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室 連絡先:092−922−4111
部会名:園芸 野菜花き部 専門:農業施設 対象:葉菜類 分類:指導
[背景・ねらい]
 養液栽培は、管理・収穫作業の省力化および作業環境の快適化等の面から栽培面積の
伸びが期待されている。また、イチゴの棚式育苗システム利用では立ったままの楽な姿
勢で作業できるため、他品目での活用が望まれている。このため、平成6年度に本シス
テム利用による簡易水耕栽培法を開発した。しかし、この栽培法では育苗培土の経費が
全生産費の8%を占めるため、培土を必要としない更に低コストな水耕栽培法を開発す
る。
 
[成果の内容・特徴]
 1 イチゴ棚式育苗用の架台の上にパネルと小型ポット(115cc)を装着し、ポ
ットを栽培槽とする液面上下式の簡易水耕栽培法を開発した。液面の上下は、水中ポン
プでポット内の養液を強制的にポット下部から排出させて行う。強制排出時に、植物の
根部には空気が供給される(図1,2)。
 2 本栽培法は養液量が少ないため、空気供給や加温を低コストで行うことができる
また、本栽培には主としてハウス用ビニル、ウレタンキューブ、ハウスバンド等の材料
が必要であるが、材料費は慣行土耕栽培より約10%安く、水耕施設費は市販の養液栽
培システムの約半分と安価である(表1、一部データ略)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 本システムでは、パネル面を水平にする必要があるが、専門的な知識は不要であ
り、生産者が自作できる。
 2 本システムには10a当たり1,800リットルのタンク容量が必要であり、パ
ネル約100ごとにタンクを設置する必要がある。
 
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名:葉菜類の無培土簡易水耕栽培技術の開発
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:森山友幸、姫野修一、井手 治
発表論文等:平成8,9年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室の成績概要