大果系キュウリ品種「Nevada」、「KU−369」の特性と省力効果
 
[要約]
 大果系キュウリ品種「Nevada」]、「KU-369」は、本県の主要品種より収量が多く、主
要品種に近い歯切れ感を持つ。これらの品種を利用すると収穫果数が約半分であるため
に、収穫・調製・出荷作業の省力化が図られる。
 
[背景・ねらい]
 近年低迷しているキュウリの消費の拡大を図るためには、新しい需要の創出が求めら
れている。また、生産面では、全労働時間の約半分を占める収穫・調製作業の省力化を
図る必要があり、これらの課題を解決する一つの方法として、現在のキュウリ品種の一
部に替わる大果系キュウリの導入が効果的であると考えられる。そこで、国内外から収
集した品種の中から、収量が多く、果実の歯切れ感が現在の国内の主要品種に近い大果
系品種を選定するとともに、省力効果を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 供試した24品種の中から、大果系品種「Nevada」、「KU369」を選定した
これらの品種特性は以下のとおりである。
 1 「Nevada」、「KU−369」は、本県の主要品種に比べて草勢が強く、葉
が大きい。主要品種の雌花着生率が低下する高温長日期においても「Nevada」は
ほとんど雌花が着生し、「KU−369」は雌花着生率が高い(データ略〉。「Neva
da」にはイボがなく、「KU−369」にはわずかに見られる。両品種とも果色は淡
い(データ略)。
 2 「Nevada」の促成栽培では、主要品種「シャープI」以上の収量が得られ
る(表1)。また、「KU−369」は、夏秋雨よけ栽培と促成栽培において「Neva
da」より収量が多い(表1)。
 3 「Nevada」と「KU−369」は、主要品種に近い歯切れ感を有している
(表1〉。
 4 「Nevada」の抑制栽培では、慣行品種に比べて収穫果数が約半分であるた
めに、収穫・調製・出荷にかかる労働時間は約半分となり、品種特性から整枝・摘葉等
にかかる労働時間は約2/3となる(表2)、
 
[成果の活用面・留意点]
 1  福岡県野菜推奨品種一覧に登載する。
 2 キュウリの新たな需要の創出や産地化を図るための資料とする。
 3 7月〜8月の収穫では軟果が発生しやすい。
 4 「KU−369」、は、7月〜8月に播種する作型では雄花の着生により種子が
できて品質が低下することがある。
 
[具体的データ]

[その他]
研究課題名:大果どりキュウリの品種選定及び作型適応性
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:山本幸彦、月時和隆、満田幸恵
発表論文等:平成8,9年度園芸研究所野菜花き部野菜試験成績書
      福岡県農業総合試験場第15回研究成果発表会講演要旨大果系キュウリの
      果実品質の品種間差異、園芸学会雑誌別冊65(2)、1996