イチゴの樋方式高設栽培における効率的な温度制御のための架台の被覆方法
 
[要約]
 イチゴの樋方式高設栽培では、11月から3月までは架台内部に黒色の吸熱用フィル
ムを展張し、透明フィルムで架台を密閉することにより架台内部の気温を効率的に確保
できる。比較的温度の高い時期には、透明フィルムの側面を解放し、架台上面だけを被
覆することにより果実温度の上昇を抑制できる。
 
 
園芸研究所・野菜花き部・野菜品種研究室 連絡先:093−922−4111
部会名:園芸 専門:農業施設 対象:果菜類 分類:指導
 
[背景・ねらい]
 イチゴの促成栽培においては、11月から3月までの低温期にはできるだけ培土や果
実の温度を確保し、安定した生育を確保するとともに着色不良果の発生を抑える必要が
ある、また、それ以外の比較的温度の高い時期には果実温度の上昇をできるだけ抑制し
果実の品質を維持する必要がある。
 
 福岡県が開発した少量培土によるイチゴの樋方式高設栽培は、栽培槽を空間に設置す
ることにより、雰囲気の温度で培土や果実の温度を制御することに大きな特徴がある。
しかし効果的な被覆資材や被覆方法が明らかではない。そこで、高設栽培技術確立のた
め、架台の被覆資材の種類や被覆方法が架台内部の温度や果実温度に及ぼす影響を明ら
かにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1 低温期には架台内部に黒色の吸熱用フィルムを展張し、透明フィルムで架台を密
閉することにより、吸熱用フィルムがない場合に比べて架台内部の昼間の温度を5〜6
℃高く維持できる(図1、図2)。
 
 2 高温期には透明フィルムの架台側面部分を解放し上面だけ被覆することにより、
昼間の果実温度を地床栽培に比べて4〜5℃低く抑えることができる(図3)。
 3 架台側面のフィルムを解放した状態では、フィルムに接触した果実の昼間の温度
は、被覆フィルムが透明の方が黒色の場合より3〜4℃低く抑えることができる(デー
’タ略)。
 
 
[成果の活用面・留意、点]
 1 野菜生産省力化の手引きや野菜の栽培指導指針に搭載し、高設栽培法における効
果的な温度制御法として活用を図る。
 2 架台の側面と上面のフィルムは分離して設置する、。
 
[具体的データ]
 
[その他」
研究礫題名:高品質イチゴの省力高設栽培システムの開発
予策区分:県特
研究期間:平成9年度(平成8〜12年)
研究担当者:伏原 肇・三井寿一
発表論部文等:平成9年度園芸研究所野菜花き部野菜試験成績概要書