アスパラガスの半促成長期どり栽培における多収性品種の特性

[要約]アスパラガスの半促成長期どり栽培用品種としては、現行の「ウェルカム」が最も安定して多収で大規格品が多い。「E−414」と「バイトル」が次いで多収である。「E−414」は赤色程度がやや強いが中規格品が多く、「バイトル」は先端が開きやすく小規格品が多い。


八女分場・中山間地作物研究室 [連絡先]0943−42−0292
[部会名]園芸 [専門]育種 [対象]葉茎菜類 [分類]指導


[背景・ねらい]

アスパラガスは収穫物が軽量で栽培が容易なことから県下で栽培が増加している。輸入等で供給量が増大しているにもかかわらず国内産価格は比較的安定しており、今後も産地の拡大が進むものと期待されている。約10年前に従来品種「メリーワシントン500W」に代わって導入された現行品種「ウェルカム」は多収性であるが、株年生が進むにつれて販売に不利な2L規格の割合が大きくなり収益性の低下が早い。そこで、「ウェルカム」の欠点を補う特性を持つ多収性品種を検索し、産地の拡大に資する。

[成果の内容・特徴]

1 年間収量は「ウェルカム」が安定して多いが、これに次いで「E−414」と「バイトル」が多く、「メリーワシントン500W」は特に2年生株が多収である。収穫初期の単価の高い2月の収量は「ウェルカム」、「E−414」、「メリーワシントン500W」で安定して多い(図1)。
2 収穫物の赤色程度は、「メリーワシントン500W」と「バイトル」が「ウェルカム」に比べて弱く、「E−414」がやや強い。また先端は「メリーワシントン500W」と[バイトル」が開きやすく、「E−414」は「ウェルカム」と同等である(表1)。
3 平均1本量は「ウェルカム」、「E−414」、「メリーワシントン500W」、「バイトル」の順に重い。「ウェルカム」と「メリーワシントン500W」は大規格である2Lが多く、「E−414」は中規格であるS,M,Lの割合が多い。また「バイトル」は小規格であるS外、2S規格が多い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

1 福岡県アスパラガス産地育成推進協議会での品種検討の資料とする。
2 「ウェルカム」に比べて2L規格の少ない品種は、慣行より改埴を遅らせることができる。
3 赤色程度が強い品種は、事前に販売方法の検討が必要である。
4 先端の開きやすい品種は、収穫期間の温度管理を低めにする必要がある。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名:アスパラガスの簡易施設利用による多収栽培技術
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成5〜9年)
研究担当者:執行明久、成清潔、大賀康之
発表論文等:平成5〜9年度八女分場中山間地作物研究室試験成績概要書
西南暖地におけるアスパラガスの簡易施設利用による周年出荷栽培技術の開発と効率的栽培体系の確立(平成10年度県間共同試験研究成果)