若掘りゴボウの11〜12月出し栽培法

[要約]11月から収穫できる若掘りゴボウの適品種は「てがる」および「渡辺早生」であり、9月上旬に播種し遮光すると増収する。また、「てがる」は遮光すると岐根の発生が減少する。収穫適期は2品種ともに根径16〜18oであり、「てがる」は11月、「渡辺早生」は11〜12月収穫に適する。


豊前分場・普通作物・野菜研究室 [連絡先]09302−3−0163
[部会名]園芸 [専門]栽培 [対象]根菜類 [分類]普及


[背景・ねらい]

福岡県における水稲後作野菜の一つである若掘りゴボウは、県産ブランド品目「博多新ゴボウ」として出荷されているが、現在の収穫期間は4〜5月である。作期幅拡大のための前進化が望まれているが、4月以前に収穫する作型は確立されておらず、特に、早期水稲作後の12月までに収穫する作型では、作付け期間が短かいことが問題となっている。そこで、若掘りゴボウの11〜12月出し栽培法を確立するために、適品種、播種期および発芽時の高温回避のための遮光効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 「てがる」は根形が紡錘形を呈し根の首部が太り易く多収であり、「渡辺早生」は根形が円柱形を呈し収量性が優れている(図1、表1)。
2 8月下旬〜9月上旬に播種すると11月中旬から収穫できる。また、9月上旬の播種時に遮光すると11月中旬の根重30g以上の株の発生率は増加する(表1,2)。
3 乾燥する年において播種が早いと岐根が多くなるが、「てがる」では、9月上旬の播種時に遮光すると岐根の発生は減少する(表3)。
4 「てがる」は12月収穫では裂根が発生し易いため11月に収穫する作型に向き、収穫適期は裂根の発生から根径16〜18mの時期である(表4)。
5 「渡辺早生」は11〜12月に収穫する作型に向き、収穫適期は根重や裂根の発生から根径16〜18mmの時期である(表4)。

[成果の活用面・留意点]

1 早期水稲作跡や、転換畑および畑地に導入できる。
2 早期水稲作後または転換畑に導入する場合は十分に砕土する。
3 水稲跡地および転換畑では、畝の高さを35p以上確保する。
4 栽培方法は春ゴボウに準じる。
5 乾燥する年は十分に潅水する。
6 [てがる」は裂根し易いので早めに収穫する。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名:若掘りゴボウの冬採り栽培技術の確立
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成8〜9年)
研究担当者:柴戸靖志、林田達也、濱地勇次
発表論文等:平成8〜9年度豊前分場普通作物・野菜研究室試験成績書