単為結果性ナス「Mileda」のホルモン処理の有無、最低温度と着果率

[要約]ナス品種「Mileda」は、10月〜2月の低温期の栽培において、着乗率向上のためのホルモン処理を省略しても、ホルモン処理を行った「筑陽」と同等以上の着果率を示し、最低温度を15℃、18℃に設定することにより90%以上の高い着乗率が得られる。


園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室 [連絡先]092−922−4111
[部会名]園芸 [専門]生理 [対象]果菜類 [分類]研究


[背景・ねらい]

促成ナスの労働時間は10a当たり2,400時間と長い。その約25%は着乗率向上のためのホルモン処理作業であり、この作業の省力化が求められている。本県の主要品種「筑陽」は、4月中〜下句にはホルモン処理を省略しても、ホルモン処理果と同等の日数で肥大するが、やや品質が劣ることが明らかとなっている(平成8年度農業関係試験研究の成果)。一方、ヨーロッパでは単為結果性品種を用いて、高夜温条件下で虫媒受粉によって着果促進を行う省力的生産体系がとられている。そこで、ヨーロッパの単為結果性品種を供試して、低温期ハウス栽培において、ホルモン処理を省略した場合の開花、結実、果実肥大の特徴を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 9月下旬定植の促成栽培で、10月から2月までの最低温度を12℃、15℃、18℃に設定したハウス内で自然結実した「Mi1eda」は、いずれの温度においてもホルモン処理を行った「筑陽」と比べて同等以上の着乗率を示す(表1)。
2 自然結実の「Mi1eda」は最低温度を15℃、18℃に設定にすると90%以上の高い着乗率となる(表1)。

[成果の活用面・留意点]

1 新品種育成のための育種素材としての利用できる。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:単為結果性品種の着乗率向上のための管理温度と樹形管理
予算区分:国庫(受託)
研究期間:平成9年度(平成9〜10年)
研究担当者:山本寺彦、満田幸恵、月時和隆
発表論文等:平成9年度園芸研究所野菜花き部野菜試験成績概要書