育苗期高温管理と発病葉の摘除によるイチゴうどんこ病の発病軽減

[要約]低温暗黒処理開始までイチゴ苗を高温管理することによりイチゴうどんこ病の 発病を抑制し、感染源となる発病葉の本圃への持ち込みを軽減できる。夏季が低温で推移する年には高温管理の効果が劣るが、摘葉処理を組み合わせると防除効果が高くなる。


生産環境研究所・病害虫部・野菜花き病害虫研究室[連絡先]092−924−2938
[部会名]園芸 [専門]作物病害 [対象]果菜類 [分類]指導


[背景・ねらい]

現在、イチゴうどんこ病に対しては薬剤を主体とした防除がなされている。しかし、近年は薬剤感受性の低下が問題となっており、代替的な防除技術の権立が望まれている。そこで、イチゴうどんこ病の発病が高温で抑制されることに着目し、うどんこ病の物理的防除法としての低温暗黒処理前の育苗期高温処理の有効性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

1 低温暗黒処理開始まで40日間前後イチゴの苗を施設内で高温管理することにより育苗期でのうどんこ病の発病が抑制され、露地育苗よりも早く終息する(図1左)。また、高温管理により発病葉が認められなくなった株では発病適温(20℃)下に置いても発病が認められない(表1)。したがって、感染源となる発病葉の本圃への持ち込みを高温管理により軽減し、本圃での発病を抑制できる。
2 高温管理によるうどんこ病の抑制効果は高温管理期間の気象に影響され、夏季の気温が低く推移する年には効果が劣る(図1右、図2)。
3 高温管理した後、発病葉を摘除した株では発病適温(20℃)下に置いても発病が認められない(表1)。したがって、感染源となる発病葉の本圃への持ち込みを発病葉の摘除により軽減し、本圃での発病を抑制できる。

[成果の活用面・留意点]

1 イチゴうどんこ病の物理的防除法として防除基準の指導資料に登載し、活用する。


[その他」
研究課題名:低温処理育苗におけるイチゴうどんこ病の発生生態と防除対策
予算区分:経常
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:益永輝幸、大野和朗
発表論文等:福岡県農業総合試験場研究報告第17号.87−91
平成8,9年度生産環境研究所病害虫部野菜花き病害虫関係試験成績概要書