葉菜類用包装機の作業能率および適応性

[要約]葉菜類用包装機利用により、袋詰め作業時間は手詰め作業の92〜25%に短縮できる。5機種の包装機を用いた場合の一日当たり出荷量は、機種別の包装作業能率と調製作業能率により異なり、ホウレンソウの事例では200〜600sが目安となる。製袋製品の外観は、機種によっては手詰め場合より向上する。

園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室 [連絡先] 092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]機 械 [対象]葉茎菜類 [分類]指導

[背景・ねらい]

軟弱野菜における現行の生産管理〜収穫〜出荷体制では、調製作業や袋詰め作業の労働負担が大きく、規模拡大を阻害している要因の一つになっている。しかし、近年、様々な葉菜類専用包装機が開発され袋詰め作業の省力化が期待されている。
このため、葉菜類用包装機5機種について、ホウレンソウ、ナバナ、ハザを対象に作業能率、特徴および適応性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@葉菜類用包装機利用における袋詰め作業能率を手詰め作業と比較すると、ホウレンソウの場合、アイパッカーで75%、製袋能力の最も高いKS−220では24%に短縮できる。また、ハザでのPAW−550の利用では58%に短縮できる。しかし、ナバナ(秤量〜株揃え〜袋詰め)におけるアイパッカー利用での作業時間は、92%への短縮にとどまった(表1)。
A個別経営及び機器の最大限利用を前提に算出したホウレンソウの事例における出荷量の目安は、アイパッカーの200s/日からKS−220の600s/日の範囲であり、包装機の能率によって異なる(表2)。
B製袋製品の外観は、アイパッカーの利用では袋に若干のしわが残るが、販売への影響はない。KS−220では三角袋に製袋することで余分な空間がなく株元がばらけないため、野菜にボリューム感が出て見栄えがよくなる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
@福岡県野菜生産省力化の手引きに登載し、調製〜袋詰め作業の省力化のための資料として活用する。
A製袋能力の高い全自動包装機利用の場合には、包装機の野菜挿入側にターンテーブルを設置することにより、調製と袋詰め作業の流れをスムーズにすることができる。
B機器を最大限利用するには、調製作業能率/包装作業能率の値から調製作業人数を推定し、必要な人数を確保する。
C調製作業の省力化のためには、調製基準の簡素化、立性品種の導入等が今後検討すべき課題である。

[具体的データ]

[その他]
研究課題名:葉菜類専用包装機の利用技術
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(7〜8年)
研究担当者:姫野修一、真鍋尚義、森山友幸、金丸隆
発表論文等:平成8年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室成績概要書