パセリの冬春どり栽培におけるセル成型苗利用による移植技術

[要約]パセリの冬春どり栽培では、セル数288〜200程度のトレイと園芸培土またはやしがらと園芸培土の混合用土(体積比1:2)を利用して50日間育苗する。セル成型苗の移植栽培では直播体系と同等の収量が得られ、在圃期間が2カ月短縮できる。

園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室 連絡先 092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]葉茎菜類 [分類] 普及

[背景・ねらい]

冬春どりパセリは6月から8月に直播し、翌年5月には抽苔して栽培が終了する。次作の播種は6月から8月に行われるため土壌消毒等土づくりの期間が確保しにくい。また播種後は苗立枯病回避や間引き労力の削減が大きな課題になっている。これらのことから、土づくりの期間を確保でき間引きが不要で苗立数が確保できる移植技術が期待されている。そこで、冬春どりパセリの移植栽培における育苗用土および育苗容器について検討し、生産力の高い育苗方法と移植栽培における在圃期間を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

@園芸培土、またはやしがらと園芸培土の混合用土(体積比1:2)を利用して約60日育苗すると苗立数が多く草丈が長く根鉢が十分に形成された苗を育成できる。これらの苗を利用すると収量が多く、用土価格は混合用土が10%安い(表1)。
Aセル数が288または200のトレイを用い50日育成したセル成型苗を移植する栽培法では、直播栽培と同等の収穫開始時期、初期収量、総収量となり在圃期間を2カ月短縮できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

@夏播き冬春どりパセリの移植技術の参考資料として栽培技術指針に登載し活用する。
A育苗は1セル3本立ちとし、葉のカールなどを見て品質の良いものを残し最終的には 1本に間引きする。
B移植栽培では、白黒ダブルマルチを利用しかん水チューブを設置する。
C収穫時の株のぐらつきを防ぐため、定植の際に手で鎮圧を行う。

[具体的データ]


[その他]

研究課題名:軟弱野菜の周年生産技術の確立
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成5〜8年)
研究担当者:満田幸恵、山本幸彦、月時和隆
発表論文等:平成5〜8年度園芸研究所野菜花き部野菜栽培研究室試験成績書