夏期の葉ネギ葉先枯れ症を軽減するかん水管理法

[要約]8月どりの葉ネギ栽培では、草丈を目安に生育初期・中期のかん水開始点をpF2.3程度でかん水管理し、生育後期のかん水開始点もpF2.3にして、なるべくかん水回数を多くし、総かん水量を330mm程度とすることにより、葉先枯れ症の発生を軽減でき生育も良好となる。

園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]葉茎菜類 [分類]指導

[背景・ねらい]

葉ネギは本県の主要な野菜であるが、高温期に葉先枯れ症が発生し生産が不安定となることが問題になっている。本県では、これまでにファイトトロン内でのプランター栽培試験において、高温や生育後期のかん水制限により根部の生育が抑制され、葉先枯れ症の発生が増加することを明らかにした(平成8年度 農業関係試験研究の成果)。ここでは、葉先枯れ症の発生を軽減するための実用的かん水方法について雨よけハウス栽培で検討する。

[成果の内容・特徴]

@8月どりの雨よけハウス葉ネギ栽培におけるかん水管理法としては、草丈が10cmの頃 から収穫期までのかん水開始点をpF2.3に設定してかん水回数を多くし、総かん水量を
330mm程度とする。この管理法では、生育後期のかん水開始点をpF2.8とし、かん水回数 を少なくした場合に比べて葉先枯れ症の発生が軽減する。
また、この管理法では、草丈の伸長が良く地下部の生育も良好で、葉色にも問題がな く商品率が向上した(表1表3)。
A葉先枯れ症を軽減するかん水管理の目安としては、草丈が40cmとなる生育中期までは pF2.3をかん水開始点とし、収穫期までの生育後期もかん水開始点をpF2.3にして晴天日 には日量11mm程度をかん水する(表2、3)。

[成果の活用面・留意点]

@福岡県主要野菜の栽培指導指針に登載し指導資料として活用する。
A土壌水分は深さ10cmの場所をテンシオメーターで測定する。
B自動かん水装置を利用する場合、圧力、かん水時間とかん水量の関係を把握してかん 水量を制御する。
C土壌の物理性、化学性改善も併せて実施し葉枯れ症を防止する。

[具体的データ]


[その他]
研究課題名:葉ネギの葉枯れ症状の発生要因
予算区分:経常
研究期間:平成8年度(平成6〜8年)
研究担当者:月時和隆、山本幸彦、満田幸恵
発表論文等:平成8年度 園芸研究所野菜花き部 野菜試験成績概要書