イチゴ「とよのか」のクラウン利用2芽苗の定植方法及び窒素施用量

[要約]イチゴ「とよのか」のクラウンを利用した2芽苗の本ぽでの定植方法は、畝幅 1.1mの外成り栽培の場合、株間は25cm程度が適し、植え付けの深さは、クラウンの基部が土壌に埋まる程度とする。施肥は、基肥の窒素を慣行より5kg/10a程度多くする。定植前のマルチングは収量に対する悪影響はない。

園芸研究所・野菜花き部・野菜品種研究室 [連絡先]092-922-4111
[部会名]園 芸 [専門]栽 培 [対象]果菜類 [分類] 指導

[背景・ねらい]

イチゴ「とよのか」の慣行の育苗では、親株管理が長期に及ぶため、期間短縮や管理の軽減が望まれている。一方、農家経営の安定化のためには販売価格の高い年内収量の増加が必要であり、これらを解決する方法の一つに生産株のクラウンの再利用が考えられる。クラウンを利用した2芽苗のポット移植時の調整方法については既に明らかになっているが(平成7年度 農業関係試験研究の成果)、本ぽでの定植方法や窒素施用量等の栽培技術については明らかにされていない。
そこで、クラウンを利用して養成した2芽苗の本ぽでの株間及び植え付けの深さ、施肥量、マルチング後の定植の影響を明らかにし、栽培技術の確立を図る。

[成果の内容・特徴]
@クラウンから養成した2芽苗を栽培する場合、株間が20〜30cmの間では、株間が広いほど1株当たりの果重、平均1果重が重い(表1)。
A株間の広さと単位面積当たりの総収量には一定の関連はみられないが、年内収量は株間を25cmとした場合に多い(表2)。
B定植する場合には、根鉢部分だけでなく、クラウンの基部が土壌に埋まる程度の深さに植え付けるとよい(表2)。
C基肥の窒素を慣行より5kg/10a程度増肥すると11〜1月収量が増加する(表3)。
Dマルチング後に定植した場合にも、慣行のマルチングと同等の年内収量を得ることができる。また、寒冷紗による被覆効果は年次で差がみられた(表4)。

[成果の活用面・留意点]
@クラウン利用の2芽苗を使った促成栽培のための技術資料とする。
A定植においては、2芽が畝に平行に並ぶように植え付け、また、果房の伸長方向を揃えるために、果房を伸ばしたい方向に株を傾けて植え付ける。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:イチゴの育苗労力軽減と早期多収生産のためのクラウン利用育苗技術の開発
予算区分:国庫(地域重要)
研究期間:平成8年度(平成7〜8年)
研究担当者:三井寿一、伏原 肇
発表論文等:平成7〜8年度園芸研究所野菜花き部野菜試験研究成績概要集