トマトの幼苗接ぎ木の養生条件と接ぎ木前後の温度管理


[要約]
 トマトの幼苗接ぎ木では、接ぎ木前及び接ぎ木−養生−順化後の温 度管理は昼温25℃、夜温15℃とし、接ぎ木後の養生時の条件は明期25〜30℃、暗期15〜20℃で照度を3500lxとすることにより接ぎ木苗の活着率が高く生育も良好となり、第1花房はほぼ11節に着生する。

園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室  
[連絡先]  092-922-4111
[部会名] 園  芸
[専門] 栽培
[対象] 果菜類
[分類] 普 及


[背景・ねらい]
 本県のトマト生産においては、幼苗接ぎ木されたセル成型苗が大量に生産されているが、年次や作型により第1花房が高節位に着生するなど花芽着生位置の変動がみられ、トマトの生産を不安定にしている。通常、接ぎ木前後の育苗管理はハウス内で行い、中でも養生は人工的に環境制御(温度18〜23℃、明期12時間、3000lx、湿度約100%)された室内で行われている。そこで、トマトの花芽の着生位置を安定化させるため、幼苗接ぎ木前及び順化後の管理目標温度及び養生時の温度、日照条件を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@接ぎ木前及び接ぎ木−養生−順化後の温度は、昼温25℃、夜温15℃(以下25℃−15℃)で管理すると、20℃−10℃管理よりも接ぎ木までの日数は短かくて、接ぎ木苗の活着率が向上し、第1花房着生位置は高温管理よりやや低い11節程度となる(表1、4、一部データ略)。

A接ぎ木苗の養生条件としては、温度は明期25℃〜30℃、暗期15℃〜20℃、照度は3500lxが接ぎ木苗の活着率を高く維持できる(表2、3)。

[成果の活用面・留意点]
@温度や照度を制御できる施設を持った種苗供給センター等での接ぎ木苗生産の技術資料として栽培技術指針に登載し活用する。

A養生は、湿度をほぼ100%に保てる容器または室内で行う。

B養生時の照度は、トレイを載せる多段台車の蛍光灯の本数や苗までの高さで制御する。

C幼苗接ぎ木の作業手順は図1の通りである。

D播種後発芽そろいまでは徒長を防ぐために昼温20℃、夜温10℃を目標に管理する。

E接ぎ木後の温度管理は最低気温が15℃より低下すると窓開き、チャック果が増加するので留意する。


[具体的データ]





[その他]  
研究課題名:トマトの幼苗接ぎ木条件と花芽の着生 
予算区分:経常 研究期間:平成7年度(平成6〜7年) 
研究担当者:月時和隆、山本幸彦、満田幸恵 
発表論文等:平成6、7年度園芸研究所野菜花き部試験研究成績概要集