樋状栽培槽を利用したイチゴの高設栽培方式の開発


[要約]
 簡易な架台と不織布製のシートからなる樋状栽培槽および緩衝能の高 い軽量培土を組み合わせることにより、資材費が安価で、暖房効率が高く、設置が容易にでき、労働負担の大幅な軽減が図れるイチゴの低コスト高設栽培方式を開発した。

園芸研究所・野菜花き部・野菜品種研究室
[連絡先]  092-922-4111
[部会名] 園  芸  
[専門]  栽 培
[対象]  果菜類
[分類]  研究


[背景・ねらい]
 イチゴは作物の特性上、草丈が低く上に伸びないことから、本圃作業時間の大部分を占める収穫、下葉除去や玉だし作業などの本圃管理作業は、中腰やしゃがんだ姿勢での作業が多く、長時間にわたる窮屈な姿勢を強いられている。このことが収益性が高いにも関わらずイチゴ栽培面積が減少していることの大きな要因となっている。
 栽培槽が腰の高さに位置する高設栽培方式は、腰を伸ばした楽な姿勢で作業することができることから、これまで養液栽培など様々な方式が開発されてきたが、資材費や設置費用が高いこと、設置作業が煩わしいことや栽培が安定しないことなどが普及上の大きな問題となってまったく普及していないのが現状である。 そこで、従来の高設栽培に比べて設置コストが低く、土耕栽培と同様の比較的簡便な肥培管理のもとで高設栽培が可能となる新しい栽培方式の開発に取り組んだ。

[成果の内容・特徴]
@樋状栽培槽を利用した高設栽培方式は、主として架台と不織布製のシートからなる樋状栽培槽および緩衝能の高い軽量培土で構成されている(図省略)。

A設置に要する資材費は、養液栽培方式に比べてかなり安い(表1)。

B栽培槽下部をビニル等で密閉し、その内部のみを加温する方式とすることにより厳寒期でも必要な地温や果実温度を従来の暖房と同程度の熱量で確保できる(表2)。

C高設栽培利用後の培土は有機質資材として利用できる。

D本システムの設置は、精密な測量や専門的な知識も不要であるため、生産者自身の作業によって容易にできる。

E試作した結果では、土耕栽培と同等以上の収量を確保できた(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
@樋状栽培槽を利用した簡易高設栽培利用技術確立のための資料とする。


[具体的データ]




[その他] 
研究課題名:イチゴ超省力生産システムの開発
予算区分:県特 
研究期間:平成7年度(平成6〜7年)
研究担当者:伏原 肇、三井寿一 
発表論文等:平成7年度園芸研究所野菜花き部野菜試験研究成績概要集