マメハモグリバエに対する物理的防除資材としての黄色粘着トラップの有効性


[要因]
 黄色粘着トラップに誘殺されるマメハモグリバエ成虫の性比は雌に偏り、雌成虫がトラップに誘殺される割合は低い。このため、マメハモグリバエに対する黄色粘着トラップの密度抑制効果は期待できない。

生産環境研究所・病害虫部・野菜花き病害虫研究室
[連絡先] 092−924−2983
[部会名]  園芸
[専門]   作物害虫
[対象]   葉菜・果菜・花き類
[分類]   指導


[背景・ねらい]
マメハモグリバエ成虫は黄色の波長に誘引されることから、現地では市販の黄色粘着トラップを発生圃場に設置し、マメハモグリバエ成虫を誘殺している。このため、本トラップがマメハモグリバエ成虫の誘殺による物理的防除として有効ではないかとの期待もある。そこで、野外圃場で本トラップに誘殺された成虫の性比の時期的変動を明らかにするとともに、作物場での成虫の性比と比較し、本トラップの防除資材としての可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
@黄色粘着トラップに誘殺される成虫の性比は雄に偏る(表1)。

A作物体上で採集される成虫の性比は、作物の部位に関わらず雌に偏る(表2)。

B黄色粘着トラップに誘殺される雌の割合が低いことから、粘着トラップを用いて雌成虫密度を抑圧することは難しい。また、圃場全体の雄個体群がトラップに誘殺される訳ではないため、雄成虫の選択的除去による交尾阻害効果も期待できない。 

[成果の活用面・留意点]

野菜病害虫防除基準および花き・花木病害虫防除基準の作成の基礎資料として供する。 


[具体的データ]

  表1 黄色粘着トラップに誘殺されたマメハモグリバエ成虫
     の性比(平成6年)

 @数値は平均値±標準誤差(SE)を表す。
 A性比は黄色粘着トラップ5枚のそれぞれから任意に抽出した
  100個体中の雄比を平均した値。
 B数字の右肩のアルファベットは同文字間に有意差がないこと
  を示す(Duncan’s multiple range
  test,p<0.05)。


 表2 ガーベラ株上で採集された
    成虫の性比(平成6年)

 @部位による性比の差は認められなかっ
  た(G−test)。


[その他]
研究課題名:マメハモグリバエ防除緊急対策事業 防除法の確立
予算 区分:県特
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年) 
研究担当者:大野和朗・嶽本弘之
発表論文等:平成6年度生産環境研究所病害虫部野菜花き病害虫関係試験成績概要書