ブロッコリ−の鮮度保持のための出荷資材の選定


[要約]
 収穫後のブロッコリーをポリエチレンフィルム(厚さ0.03o)内装段ボール容器か、ガス気密性を高めた機能性段ボール容器に入れ室温に放置すると、雰囲気の二酸化炭素はMA効果を発揮できる濃度になる。この場合、クロロフィルの低下が抑制でき、収穫後4日を経過してもブロッコリーの商品性を保持できる。

生産環境研究所・流通加工部・流通利用研究室
[連絡先] 092−924−2939
[部会名] 園芸
[専門]  利用加工
[対象]  葉茎菜類
[分類]   普及


[背景・ねらい]
 ブロッコリーは普通段ボール容器で出荷されるため、流通中に花蕾が黄化しやすく、またしおれやすい。そこで、ブロッコリーの鮮度保持が可能な出荷資材を選定する。

[成果の内容・特徴]
@ブロッコリーをポリエチレンフィルム内装段ボール容器か、ガス気密性を高めた機能性段ボール容器(TCA段ボール容器)に入れ室温に放置すると、 2日後よりMA効果を発揮できる二酸化炭素濃度(約10%)に達することができた(表 1)。

Aブロッコリーをポリエチレンフィルム内装段ボール、TCA段ボール容器、発泡スチロール容器に入れた場合、クロロフィルの保持に優れ(表2)、収穫後 4 日を経過しても商品性を有した。

Bブロッコリーの呼吸速度は低温で抑制できた(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@ブロッコリーの鮮度保持技術として活用できる。

Aポリエチレンフィルム(厚さ0.03mm)内装段ボール容器を用いると、TCA段ボール容器より安価に鮮度保持できる。

B発泡スチロール容器を用いた場合、二酸化炭素濃度が高くなりやすいため、無気呼吸し異臭が発生する可能性がある。

Cブロッコリーを5℃で予冷すると、より効果的に鮮度保持できる。


[具体的データ]



 図1 出荷容器の違いがブロッコリーの雰囲気ガス濃度に
    及ぽす影響(平成6年)
    −:酸素濃度、…:二酸化炭素濃度、無:普通段ボール、
    ○:ポリエチレン内装段ボール、□:発泡スチロール
    ●:TCA段ボール、■:SiCa段ボール
  注)TCA段ボールはガス機密性を高めた機能性段ボール容器、
    SiCa段ボールは湿度調整した段ボール容器



 図2 出荷容器の違いがブロッコリーのクロロフィル含量に
     及ぼす影響(平成6年)
    注)凡例は図1に準ずる。



 図3 貯蔵温度がブロッコリーの呼吸遠度に及ぽす影響(平成6年)
  注)ブロッコリーを密閉式円柱形アクリル製容器に入れ、一定時間内
    に変化する容器内の二酸化炭素濃度から呼吸速度を算出した。


研究課題名:ブロッコリーの鮮度保持技術の開発
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成6〜8年)
担当研究者:茨木俊行、池田浩暢
発表論文等:平成6年度 福岡県農業総合試験場 生産環境研究所 流通加工部試験成績書