サラダナの簡易水耕栽培の品種、培土及び培養液濃度


[要約]
 イチゴ棚式育苗システムを利用したサラダナの簡易水耕栽培では、春夏季の品種はバイオ夏用とL−2、培土は小型専用培土が適し、秋冬季の品種はバイオ2号とL−2、培土は与作V1号が適している。また、培養液濃度は、OKF-1使用の場合1,000倍が適している。 

園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室
[連絡先]   092-922-4111
[部会名]   園芸
[専門]   農業施設
[対象]    葉菜類
[分類]     普及


[背景・ねらい]
  養液栽培は、土耕栽培に比べて管理・収穫作業の省力化・軽作業化と連作障害の回避及び安定的な計画生産等の利点があり需要が増大している。また、イチゴ農家ではイチゴの育苗に棚式育苗システムの利用が進んでいるが、本システム資材の汎用利用の面から、本システム利用によるサラダナの周年簡易水耕栽培法を開発した。そこで、この水耕栽培技術を確立するために、各作期の適品種、培土及び培養液濃度を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
@品種は、春夏季の栽培には-の発生が少なく、株の中での葉が揃ろっているバイオ夏用、L−2が適しており、秋冬季の栽培には生育が旺盛で葉数も多いバイオ2号、L−2が適している(表1)。                  

A培土は、春夏季には-の発の少ない小型ポット専用培土、秋冬季の栽培には生育の旺盛な与作V1号が適している(表2)。
              
B栽培期間中は小型ポットの先端が常時2p程度は培養液に浸かる必要があるため(デ−タ省略)、1作に2回の割合で培養液の液補充を行う。
         
B培養液の濃度は、OKF-1使用では生育や収穫物の葉色等の面から1,000倍が適している(表3)。

[成果の活用面・留意点]
@福岡県野菜生産省力化の手引きに登載する。


[具体的データ]

   表1 品種・作期別の収量・品質(平成5,6年)

  注)@栽植密度は、1u当たり28.4株。
    A水耕開始日は、5年11月10日播種が5年12月10日、6年5月6日播種
     が6年5月26日。
    B葉色は、SPAD−502により測定。
    C葉の揃い(1株の中の葉の揃い)は、×:不揃い、△:やや不揃い、O:普通、
     ◎:揃いが良い。
    D総合評価は、○:実用化できる、△:実用上やや問題あり、×:実用化できない。


  表2 培土・作期別の収量・品質(平成5,6年)

  注)@供試品種は、平成5年11月10日播種がパイオ・サラダナ2号、平成6年5月
     11日播種がパイオ・サラダナ夏用。
    A栽植密度、水耕開始日、葉色測定法及び評価記号は表1と同じ。


   表3 培養液の濃度と収量・品質(平成5年)

  注)@播種、水耕開始及び収穫日は、平成5年6月5日、5年6月28日、
     5年7月30日。
    A供試品種は、バイオ・サラダナ夏用、供試培土は、与作V1号。
    B栽植密度、葉色測定法及び評価記号は表1と同じ。


[その他] 
研究課題名:棚式育苗システムの利用技術
予算 区分:経常
研究 期間:平成6年度(平成5〜6年)
研究担当者:森山友幸、真鍋尚義、金丸 隆
発表論文等:平成5年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室の概要平成6年度園芸研究所野菜花き部施設機械研究室の成績概要