夏秋季採りチンゲンサイの品種と品質向上のための遮光資材の選定


[要約]
  チンゲンサイの夏秋季採り栽培において、5月播種では「青美」、6月、7月播種では「青帝」、8月及び9月播種では「青美」・「長陽」が適する。栽培期間が高温期にあたる6月、7月播種では白色の寒冷紗で被覆し遮光して栽培することにより、気温や地温を低下させ、茎の伸長を抑制することができ、品質が向上する。

園芸研究所・野菜花き部・野菜栽培研究室
[連絡先]   092-922-4111
[部会名]   園芸 
[専門]     栽培
[対象]    葉菜類
[分類]     普及


[背景・ねらい]
 本県のチンゲンサイは簡易施設を利用して周年栽培されており、「青帝」が主要品種である。夏秋季の栽培では生育が悪く、節間の伸長やチップバーンの発生等、品質低下による生産不安定が問題となっている。そこで、夏秋季に適した品種及び遮光資材を選定し、チンゲンサイの周年安定生産技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
@播種期別に適する品種は、「青帝」より株重が重く、茎長が短く、チップバーンが発生しない点から、5月播種では「青美」が適し、8月、9月播種では「青美」、「長陽」が適する(表1)。6月、7月播種では比較的株重が確保される「青帝」を用いる(表1)。

A「青帝」の生育適温は平均気温20℃前後と推定される。生育時の平均気温が30℃から15℃の範囲では高温ほど茎長が長く、25℃では下位節間が、30℃では下位節間及び中位節間が伸長しやすい。株重は20℃で最も重く、それより高温や低温では軽くなる。また、高温ほどチップバーンの発生が多くなる(表2)。

B6月、7月播種では、高温のためいずれの品種も株重が軽くなる(表1)。この時期には「青帝」を用い、白色の寒冷紗(#600)を被覆して遮光すると、ハウス内気温、地温の上昇を抑えることができるので、株重は無被覆と変わらず、茎長は短くなる(表3)

[成果の活用面・留意点]
@夏秋季採りチンゲンサイの栽培基準に登載する。

A遮光資材は、梅雨明けから8月下旬までを目安にして、日射量が多く、高温の時期に被覆する。

B遮光資材は、中型トンネル、ハウスのビニル上かハウスのカーテン資材として用いる。


[具体的データ]

  表1 チンゲンサイの品種及び播種期と生育(平成6年)

 注)@生育日数:育苗期間は21日間、本圃期間は28日間
   A収穫期:5/19播種;7/6,6/14播種;8/3,7/12播種;8/31,
    8/9播種;9/28,9/6播種;10/26
   Bチッブバーン:発生株率(表2,3も同じ)
   C平均気温:野外


 表2 気温がチンゲンサイ「青帝」の生育に及ぼす影響(平成6年)

 注)@プランターに定植し、ファイトトロン内で栽培、1区5株
   A播種:8月9日、定植:9月4日、調査:10月4日


 表3 播種期及び遮光資材がチンゲンサイ「青帝」の生育に及ぽす影響(平成6年)

 注)@5月19日播種:被覆開始期6月9日、収穫期7月5日
   A6月14日播種:被覆開始期7月5日、収穫期8月4日
   B光線透過率:各被覆資材下における日平均日射量の無被覆に対する割合
   C気温、地温:7月6日〜8月2日の測定値


[その他] 
研究課題名:チンゲンサイの栽培条件と節間の伸長
予算 区分:経常 
研究 期間:平成6年度(平成4〜6年)
研究担当者:月時和隆、山本幸彦、渡辺幸恵、豆塚茂実
発表論文等:平成5〜6年度園芸研究所野菜花き部野菜試験研究成績概要集