かん水管理が容易なイチゴの高設採苗用循環式養液栽培装置

[要約]イチゴ高設栽培用容器を活用して、点滴型かん水チューブによるかん水と揚水シ−トによる底面給水を行うことにより、かん水管理が容易で、廃液が出ない循環式の高設採苗用養液栽培装置を開発した。

園芸研究所・野菜花き部・野菜品種研究室

連絡先

092-922-4364

部会名
 

  園  芸
 

専門
 

  農業施設
 

対象
 

果菜類
 

分類
 

 研究
 
[背景・ねらい]
 イチゴの高設採苗は、簡易な設備を用いて効率的に苗生産ができる方法であるが、培地量が少ないため、天候や生育時期に応じて、細かなかん水管理を行う必要がある。また、既存の採苗用養液栽培装置は、かけ流し方式であるため廃液の処理が問題となっている。
 そこで、イチゴの高設栽培用容器を活用して、かん水管理が容易で廃液が出ない循環式のイチゴ採苗用養液栽培装置を開発する。
 
[成果の内容・特徴]
1.開発した循環式養液栽培装置は、イチゴの高設栽培用容器(ダブルベリーラックコンテナ)を用い、点滴型かん水チュ−ブを布設して、少量の培地と培地を支持する段プラスチック、根を隔離する遮根シート及び高設栽培用容器の底部に溜まった廃液を根部底面へ吸い上げる揚水シートから構成される(図1)。
 
2.かん水は、点滴型かん水チューブで株元へ行うとともに容器底部の廃液を揚水シートで根部底面へも補助的に供給して行うため、かん水管理が容易で、廃液もでない(図1)。
 
3.設置に必要な資材費は、本ぽ10a分のイチゴ苗を作るのに20万円程度と安価である(表1)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1.環境にやさしい効率的なイチゴ苗生産システムの開発に活用できる。
 2.段プラスチック、揚水シート、遮根シート等は、栽培用容器に合わせて加工する。
 
[その他]                                 
 研究課題名:環境保全型超低コスト養液栽培方式の開発
 予算区分:県特
 研究期間:平成11年度(平成10〜11年)
 研究担当者:藤田幸一、三井寿一、末吉孝行、伏原肇
 発表論文等:平成10、11年度 園芸研究所 野菜花き部 野菜試験成績書