加工用(業務用)冬出キャベツの商品化率と生産費

[要約]加工用(業務用)冬出キャベツは、一斉収穫と調整・荷造り作業の簡略化ができるため、10a当たり労働時間が青果用キャベツより35%少ない。更に加工用は、出荷規格や品質基準が緩やかなため商品化率が高く、10a当たり出荷量も多い。省力化と出荷量の増加によって加工用キャベツ1kg当たり生産費は、青果用より40%低い。

企画経営部・経営情報課

 連絡先

 092-924-2972

 部会名
 

  園芸
 

専門
 

  経営
 

対象
 

葉茎菜類
 

分類
 

研究
 
[背景・ねらい]
 水稲と露地野菜の大規模複合経営においては、水田の省力的高度利用技術の確立が求められている。そこで、水稲では点播直播栽培、露地野菜ではキャベツの機械化一貫体系の技術開発に取り組んでいる。
 キャベツ作の機械化一貫体系のうち省力効果の期待が大きい全自動収穫機は、加工用キャベツを前提としているが、加工用キャベツの作業工程や労働時間、商品化率、出荷量等の基礎数値は明らかではない。今後、全自動収穫機の実用化に向けて技術、経営評価を進めるために、ここでは手切り収穫体系での加工用キャベツの基礎数値を明らかにする。調査対象農家は10ha規模のキャベツを加工用(業務用)の契約栽培を主体に、一部青果用として市場出荷を行っている。
 
[成果の内容・特徴]
1.加工用キャベツは、一斉収穫が可能で、収穫で使用する通いコンテナのまま出荷できるため調整・荷造り作業が簡略化できる。10a当たり労働時間は45時間で、2回収穫の青果用キャベツの71時間に比べ35%省力化できる(図1)。
 
2.加工用キャベツは、出荷規格と品質基準が青果用より緩やかであるため、商品化率が高い(図2表1)。
 
3.加工用キャベツは、青果用のL規格(8玉/1箱10kg)より平均で30%程度重い重量で出荷される(表1)。
 
4.加工用キャベツの10a当たりの出荷量は6.3t程度で、上記2、3の要因によって青果用より35%多い。10a当たり出荷量は、青果用では出荷規格の制約によって出荷玉数が基準となるのに対し、加工用では玉数と1玉当たり重量の積である出荷重量が基準となる(表1)。
 
5.10a当たり生産費は、労働費の違いから加工用が青果用より20%低く、1kg当たり生産費では出荷量の差が加わるため40%低い(表1)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1.水稲・キャベツの大規模複合経営モデルを策定する際の技術係数として活用する。
 
[その他]
研究課題名:水稲点播直播と露地野菜の複合経営における水田の省力的高度利用技術の確立
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:中原秀人、藤吉 臨、北島敬也
発表論文等:平成11年度九州地域農業試験研究成績・計画概要集−農業経営−