キャベツの収穫機利用体系における作業能率と利用可能面積

[要約]
 キャベツの収穫作業における全自動収穫機半自動収穫機作業能率は、それぞれ3.7hr/10a、7.8hr/10aである。また、初冬〜春出しにおける利用可能面積は、それぞれ 15.6ha、 9.8haであり、慣行の手収穫と同等の費用となる規模はそれぞれ12.4ha、4.2haである。

園芸研究所・野菜花き部・施設機械研究室    [連絡先]092-922-4111
[部会名]園  芸  [専門]機械  [対象]葉菜類  [分類]指 導
 
[背景・ねらい]
 福岡県の露地野菜品目の中で最も作付面積が大きいキャベツでは、全自動移植機、乗用管理機、全自動収穫機利用の機械化一貫体系の導入が進みつつある。しかし、全自動収穫機は茎葉の切断精度が低いため、収穫後に再調製を行っている。一方、乗用管理機にコンベアと荷台を装着した半自動収穫機では、手で収穫するため、深切りや再調製の問題はないが全自動収穫機利用に比べて作業速度が遅く、身体負担が大きい。そこで、再調製を含めた収穫作業における収穫機の作業能率、利用可能面積、費用および身体負担について明らかにする。(要望機関名:生産流通課、北九州普(H4、H8))
 
[成果の内容・特徴]
 1 全自動収穫機の作業能率は 3.7hr/10aであり、初冬〜春出しの作型で機械収穫でき  る11月〜3月において、降水モデルをもとに試算した利用可能面積は15.6haである。また、半自動収穫機の作業能率は 78hr/haであり、同作型の収穫期間11月〜5月において試算した利用可能面積は9.8haである(表2)。
 
 2 再調製を含めた収穫作業に必要な作業人数は、全自動収穫機の利用では5人、半自動収穫機の利用では2人であり、慣行の手収穫作業体系と同等の費用となる規模は、それぞれ12.4ha、4.2haである(表1、表2)。
 
 3 身体負担の指標となる心拍数増加率は、全自動収穫機利用では0〜5%、半自動収穫機利用では42%である(表2)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1 福岡県野菜生産省力化の手引きに登載し、重量野菜生産の省力化・軽作業化技術の資料として活用できる。
 
 2 結球部の倒伏と深切りを少なくするためには、畝肩から15p以上の位置に定植する。
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:結球葉菜類の機械収穫技術
 予算区分:経常
 研究期間:平成10年度(平成8〜10年)
 研究担当者:姫野修一、真鍋尚義、森山友幸、金丸隆、井手治
 発表論文等:平成10年度施設機械研究室試験成績概要書