中山間地域におけるリーフレタス「フリルアイス」の9月上旬採り栽培

[要約]
 標高340m 程度の中山間地域では、リーフレタス晩抽性品種「フリルアイス」9月上旬採りが可能である。10a 当たり施肥量は三要素で各12kg程度、栽植密度は5,900 株が適する。冬採り栽培に比べて、省力、低コストである。

 豊前分場・普通作物・野菜研究室  [連絡先]0930-23-0163
 企画経営部・経営情報課      [連絡先]092-924-2972
 [部会名]園  芸 [専 門]栽 培、経 営  [対 象]葉菜類  [分 類]普 及
 
[背景・ねらい]
 レタス類は高温によって抽だいし商品性が低下するため、福岡県では7〜9月が端境期となっている。この時期、県内の市場では長野県産が大半を占めている。この端境期にリーフレタスの栽培を可能にするためには、標高の高い中山間地域のやや冷涼な気象条件を利用することが有効と考えられる。
 そこで、中山間地域の農業の振興を図るため、9月採りに適する晩抽性リーフレタスの栽培技術を確立して、経営的な有利性を明らかにする。
 
[成果の内容・特徴]
 1.「フリルアイス」は抽だいが遅い緑色系リーフレタスである(データ略)。
 
 2.「フリルアイス」を7月上旬に播種し、その苗を標高340m程度の中山間地域(8〜9月の平均気温は標高 10m地点より約 2.4℃低い)で7月下旬に定植することで9月上旬採りが可能である。この作型の10a 当たりの収量は2,000〜2,400kg である(表   1)。
 
 3.「フリルアイス」の9月上旬採り栽培では10a 当たり施肥量(三要素)を各12〜24kgまで増やしても、調製重、収量に影響は認められない。栽植密度は10a当たり5,900株で調製重が重く、上物収量も多い(表2)。
 
 4.東京市場における外観および食味に関する市場評価は高い(データ略)。
 
 5.9月上旬採りリーフレタス栽培にかかる10a 当たり作業時間は81 時間で(データ 略)、トンネル被覆作業が省力できるため冬採りに比べて33%少ない。経営費は37万円程度で、冬採りの42万円に比べて低い(表3)。
 
[成果の活用面・留意点]
 1.中山間地を中心にリーフレタス「フリルアイス」の産地化を図るための資料として活用できる。
 2.育苗にあたっては低温庫を利用した催芽を行い、発芽促進を図る。
 3.抽だいがはやく収穫適期幅が短いので、採り遅れないように注意する。
 4.多雨対策のため、作畦は早めに行う。
 
[具体的データ]
 
[その他]
 研究課題名:夏秋野菜の高品質栽培技術の確立
       新規作物等の現地適応性試験
       開発技術の経営的評価と導入条件の解明
 予算区分:県特
 研究期間:平成10年度(平成7〜10年)
 研究担当者:林田達也、浦 里果、柴戸靖志、尾形武文、藤吉 臨
 発表論文等:平成7〜10年豊前分場野菜試験成績書、平成10年度九州地域試験研究成績・計画概要集(農業経営)